全国桜保存会会長〔7658〕2024/04/03
2024年4月3日(水)雨
「大言海」は、明治期に大槻文彦博士が編纂した国語辞書「日本辞書ことばのうみ」を、冨山房の理解と協力によって増補改定したもので、昭和3年に大槻博士が逝去された後も編纂が続けられて昭和10年に完結したという、力作大作労作、すごい国語辞書。
これ読むと、明治大正の頃、人々がどんな言葉にどんな意味や雰囲気を感じていたのかがわかって、楽しい。現代人が思っていないようなことが当たり前に感じられていたりして。そこで、今朝は、今満開を迎えている「サクラ」について、見てみました。
さくら(名)
櫻
咲麗[サキウラ]ノ約ト云フ。或ハ、木花開耶姫[コノハナサクヤヒメ]ノ、さくやノ転。木花[コノハナ]ノ條ノ(二)ヲ見ヨ。以下略
麗らかに咲くから「サクラ」、という説と、大山祇神の娘にして天孫瓊瓊杵尊の妻となった美女、木花開耶姫[コノハナサクヤヒメ]の「さくや」が転じて「サクラ」という説を紹介してますね。なるほど。そこで、僕は「木花[コノハナ]ノ條ノ(二)」を調べてみました。
この-はな(名)
木花
(二)特ニ、櫻花ノ称。艶麗ナルコト、百花ノ最ナレバ、木ノ花ノ名ヲ専有スルコトトナレルナリ、後ニハ、花トノミ云ヒテ、櫻花ノコトトナル、牡丹ニ花王ノ名ヲ専称スルガ如シ。以下略
古事記、日本書紀に登場するコノハナサクヤヒメの「コノハナ」は木花で、サクラなのでした。いつしか、「花」といえば「サクラ」のことをいうようになったくらい、サクラは日本を代表する花なのであります。
ここは介良、朝峯神社。古代の介良から見た姿が富士山のようなので「介良富士」の名前で親しまれている山の麓に鎮座まします朝峯神社は、富士山の本宮浅間神社から勧請されてきた、古い古い延喜式内社。もちろん御祭神は、木之花咲耶姫。木花開耶姫。コノハナサクヤヒメ。
今朝、雨中の朝峯神社参道では、サクラが、木花が、花が、満開でした。雨中のサクラもまた、いいね。
このお宮さんの本殿奥の巨岩は、すごかったです。あと、こんなのもあるね。こういう健康的な発露は、いい。
朝峯神社参道にある由緒書には、「御祭神のご利益は」という項目に続けてこうあります。
木之花咲耶姫命
全国桜保存会会長で容姿端麗。山火鎮護、五穀豊穣、養蚕、特に安産、子授け、縁結び、髪結い業、酒造業
高知の酒造業の皆さんは、この朝峯神社をとても大切にしています。
それにしてもこの、容姿端麗な「全国桜保存会会長」ってのが、いい。木之花咲耶姫って、「全国桜保存会会長」だったんだ。どこに事務局があるんだろう。やはり、富士山の浅間神社内でしょうかね。