奈路の風景と加賀野井氏〔7601〕2024/02/06
2024年2月6日(火)晴れ!
こないだ、全国に共通するような地名の話から、「奈路(なろ)」という地名は高知県にしか無く、しかも高知にはたくさん存在する地名であること、書きました。この地理院地図で「奈路」と検索してみよう。その独特のありようが、よくわかります。
「奈路」は「なろ」で、山間部に平坦に開けた土地のことを言う、土佐弁とのこと。角川「日本地名大辞典」に書いてあります。烏帽子山の下の広くなった場所にある施設は「おおなろ園」。南国市にあるのは「南国市立奈路小学校」。
以前、南国市の山中にある亀岩という地域の、その地名由来について書いたこと、あります。木花之開耶蘇今姫にまつわる、楽しい伝説。その亀岩を流れる瓶岩川へ流れ込む支流が奈路川。奈路川を遡上すると、それこそ山間部に開けた土地があり、そこが、「奈路」。南国市立奈路小学校が、あります。今朝は早朝から、行ってきました。
中世の文書に「なろの村」とあり、古くから存在した村であることが、わかります。ただ、ここを流れる奈路川は、谷のかなり深いところを流れています。なので、なかなか水利に恵まれていない。そこで藩政期の末期の嘉永年間、奈路村の一部を領していた土佐藩家老、桐間氏が、ひと山向こうの中谷川から水路を開削して奈路に水を引き、約4町歩の水田を開発した、と、角川「日本地名大辞典」に書いてありました。なるほど。桐間さんか。
そう。一昨日探索したのは土佐藩家老、加賀野井家の領地。江戸時代は桐間家。家老なので、もちろん高知城の近くにお屋敷を構える訳やけど、その職責は「山家老」。土佐藩の山林政策を担っておったみたいですね。で、自家の領地があった奈路の地の水田開発も手がけたという訳だ。
その水路は、「奈路の隧道」で中谷川の水を奈路川に通しておる訳やけど、その隧道は南国市指定文化財として、今も清らかな流れを通している、とのことでした。今度、探検してみなくっちゃ。
それにしても、南国市奈路。なろ。急斜面には棚田。小川沿いに集落。梅の花が咲き、夜明け前の実に美しい風景が広がっておりました。