下咥内の石積み〔7371〕2023/06/21
2023年6月21日(水)薄曇り
夏至。梅雨の晴れ間も終わり、これからお天気は下り坂。そして今日から少しづつお昼が短くなる。どんどんと季節は過ぎてゆく。
昨日、日章あけぼのの産業団地のこと書きました。団地が造成される前の田んぼの形状が不定形なのは、そこが物部川の古い流路になっていたから、とも。地理院地図で見るとこうで、それに地形分類図を重ね合わすと、こう。産業団地が造成された場所は、旧河道があった低地だったこと。わかります。その東側に下咥内の集落があって、そこは、自然堤防上の微高地だ。田村の弥生集落のように、物部川の自然堤防上につくられた集落。その下咥内集落は、かなり昔からの集落で、大きな家が石積みの上に建てられていたり、します。
自然堤防上とは言え、物部川の旧河道に挟まれた土地。石積みによって嵩上げされ、洪水に備えているのでしょう。ずっとずっと昔から。
その石積み。このお家の石積み、以前から気になってました。大きな川石でできた石積み。物部川の流れによって丸くなった川石を積み上げ、家の土台にしています。その川石は砂岩で、加工したようでもないから、適当な形状の石を見つけてきて積んだのでしょうか。亀甲積みのように、きれいに積んでいます。そしてコーナーの箇所を見ると算木積みになっているではないか。すごい。川に転がる自然石をそのまま使った算木積み。これで強度を出してるんでしょうね。石積み職人の心意気を感じる風景。
この界隈、丸みを帯びた川石を使った石積みは、よく見かけます。でも、ほとんどは、もっと小さい丸石を積んでます。これくらい大きな川石を積んだ石積みは、ちょっと珍しい。珍しいので、気になってて、今朝、撮影してきたのでありました。
この西側にも大きなお家がありますが、その家の石積みはチャートの巨岩。積みやすいように加工して積んでました。これは、近年になってどこかから運んできたチャートでしょう。
ずっとずっと昔からここで暮らしてきた人々は、川石を積んで、物部川の脅威に備えてきたという歴史。それでも、これくらい大きな川石になると、立派だ。なかなかの見応え。家を建てた方のこだわりを感じることができる気がする、そんな石積み。
五台山麓の石灰の石積みや、南嶺麓のチャートの石積みなど、石積みは、その土地土地で産する石が使われてます。石積みを見ると、その土地の成り立ち、地層が、わかって、楽しい。楽しくないですか?