青雲橋の土木工学〔7367〕2023/06/17
2023年6月13日(火)曇り
橋梁の建築技術ってのは、なかなかの進歩を見せている、らしい。できるだけ橋桁を立てないで、長い長い橋を架けるのには、吊り橋が有効。瀬戸大橋もそうだし、古いところでは1937年に架けられたゴールデンゲイトブリッジなどが有名。戦前に、あんなすごい橋を架けたアメリカってのは、やはりすごいね。
あと、重量に耐えられるように工夫されているのがトラス橋。新しくて身近なところでは、うちの近所に架かっている鏡川大橋の「ニールセン形式」。詳しくは書かんけど、なかなか合理的な橋の構造、らしい。知らんけど。
で、色んな橋を見かけるけど、こういうのは、ちょっと珍しいよね。アーチが橋の下側にきてるやつ。こういう形式の橋を「上路式吊床版橋」というんだそう。ちょっと、珍しい。
架橋工事の工法ってのは日進月歩で、この「上路式吊床版橋」は、「直路式吊床版橋」という工法が確立した後に、その進化形としてできあがってきたもの、らしいです。では、「直路式吊床版橋」とは。
有名なのは広島の「夢吊橋」でしょう。こんなの。そう。橋脚はもちろんありません。吊り橋でもないし、トラス橋でもない。ただ、橋があるだけ。この支間長は147.6mで、「直路式吊床版橋」では世界一長いとギネス認定されてるんだそうね。なかなか不思議な、でも自然を邪魔してない構造は美しい。
両端の地盤にグランドアンカーを打ち込んでワイヤーを張り、そのワイヤーにコンクリートを貼るという構造。支保工が不要なので、施工条件の悪い谷間とかでも、建設が容易。そしてシンプルで美しい。工事も、速い。弱点は、グランドアンカーを打ち込む両岸の地盤が固いことが求められるのと、橋がたわんでしまうこと。力学的には、たわみが大きいほど、両岸の引っ張る力が少なくてすみ、安定するんだそう。でも、あんまりたわむと、渡れない。
そこで考えられたのが「上路式吊床版橋」という訳だ。両岸から張ったワイヤーをたわませて力学的に安定させ、その上に、鉛直材を介して路面となる上床版を載せる、という構造。これだと、「直路式吊床版橋」の利点を活かしつつ、平らかな道路が通せる。すごい。この工法の代表作は、静岡県掛川市の菊川に架かる「潮騒橋」ね。これも有名。
でも、やはり両岸のグランドアンカーを打ち込む地盤が固い必要があることは、変わらない。そこで考えられたのが「自碇式吊床版橋」。
「自碇式吊床版橋」は、吊床版を主桁に定着し、吊床版から作用する水平力を主桁に負担させ、完成系においてグランドアンカーを不要とした構造」だって。理解できた人は、エラい。
まあ、兎に角、「上路式吊床版橋」の弱点をも克服した橋、ということは、わかりました。そんな素敵な橋が、これ。上に、こういう形式の橋を「上路式吊床版橋」というんだそうと書いたけど、違いました。正しくは「自碇式吊床版橋」なのだ。
今日、香川方面に国道32号線を走ってて、阿波川口駅のところから新宮方面へと銅山川を少し遡った場所で撮影してきました。銅山川に架かる「青雲橋」。これが、「自碇式吊床版橋」を代表する橋なんだってね。
なんか、昨日からのニュース見てて、橋梁工事のこと書きたくなってしまった訳ではありません。
人類の技術は日進月歩。人類の努力の成果を、こうやって感じるのは楽しいね。僕も頑張らんといけません。人類の未来の為に、頑張ります。