蛇紋岩、花崗岩、ワイン、土壌〔7361〕2023/06/11
2023年6月11日(日)雨
雨の日曜日。梅雨ですきんね。
昨日、牧野植物園の「蛇紋岩植生園」のこと、書きました。高知市北部は、蛇紋岩産地で有名。地質図を見てみると、こう。この、濃い青の部分が蛇紋岩。クリックすると「超苦鉄質岩類」と表示されます。非常にマグネシウムが多い、地層。カリウムも多いので、以前にも書いたように日本酒つくるのに適しておりそうやけど、鉄分がね。鉄分が発酵にとってはあんまし良くないので、蛇紋岩層を流れてきた水は、醸造に適したカリウムをたくさん含むけど、鉄分をどうするかという課題を克服せんと、いけません。
土佐は、石灰岩層とチャートが優勢なので、日本酒作りには適している土地だと言えます。だから酒飲みが多いのか。
課題を克服して酒造り、ということで言えば、今、頑張っておられる井上ワイナリーさん。こないだ、三宝山を走った際、立ち寄ってきた井上ワイナリーさん。親会社が井上石灰ということで、石灰による土壌改良はお手のもの。そして高知は石灰岩層が多く、ph的にはブドウ作りには適していることに、なる。しかし、高温多湿で雨が多いというのは、ブドウ作りにとってはなかなか厳しい。そういった不利な条件を克服しつつ、優位性を活かす。そもそもワインってのは日本のものではないので、なにかしらの課題を克服する必要がでてくるんでしょうね。
昨夜、高知市内で、瀬戸内海、大三島にある「みんなのワイナリー」さんのワインを楽しむ催しがあって、縁あって参加してきました。ワインもやけど、松原ミートさんの料理も食べられて大満足。
いろんな種類のワインを飲みながら、いろんなお話ができました。ワイナリーの代表者さんに、地質、土壌についてお伺いしてみたんですね。
瀬戸内は、日照時間が多くて乾燥している。これはもう、ブドウづくりには最適。土壌はこんな感じで圧倒的に花崗岩。花崗岩ってのは、風化して砂になると真砂土になるくらいで、水捌けの良い土壌を形成するので、これもブドウ栽培にはいいねー。ただ、堆積土壌ではないので土壌に栄養分が少ないのが弱点で、それを克服する栽培、品種などを工夫しているんだそう。やはり、ヨーロッパにはない努力が必要な日本のワイン。
そんな努力の成果を味わう夜は、なかなか有意義なものでした。松原さんのも美味しかったし。
写真は、今朝の大高坂山西麓。朝、会社からの帰りに立ち寄ってきました。高知城の山の、西麓。ここに、蛇紋岩の露出があります。身近に蛇紋岩を見れる場所なんで、一度、行ってみてください。地質図では、大高坂山は、なんと由来がカンブリア紀に遡る角閃石でできている山。やけど、チャートもあれば蛇紋岩も、ある。
ここは大好きな、場所。蛇紋岩の露出があるだけではなくて、その隣にある石積みは、先の戦争のときに掘られた防空壕だった穴を隠す石積み。で、この写真の右端に微かに写る石の柱。これは、営林局の前身である「高知大林区署」が大正5年に建て替えられた際、玄関脇に据えられた柱。庁舎建設費用の2.3%がその柱に当てられたという、すごい柱が、現在の庁舎に建て替えられる際にこうやってモニュメントとして残されたんだそう。
そう。ここには、いろんなことが、凝縮されている場所。
雨の日曜日。今日は静かに、雨の匂いを嗅ぎながら、本でも読んで過ごそうか。