旧石器時代の備讃瀬戸〔7136〕2022/10/29
2022年10月29日(土)晴れ
今日は、本州方面へ、お仕事。久々に車で向かっています。車でないと無理な仕事なので。
そんな訳で久々の与島。瀬戸内海に浮かぶ美しい島、与島。瀬戸大橋、瀬戸中央自動車道の与島S.A.駐車場から、小さな道を降りていくと、与島の集落に行けます。集落は、島の南端、東側の港を中心に広がってて、立体迷路のように小さな路地が入り組んだ素敵な集落。
今日は、島の住民の方でお会いしたのは、港をバイクで走り抜けるおじいちゃん1人だけ。あとは数人の釣り人。静かな静かな与島。
この写真は、高台にある旧与島小学校の体育館の横から撮影したもの。橋の向こうに坂出の工業地帯。
土曜日だけあって、サービスエリアの展望所とかにはたくさんの人が朝からやって来てたけど、島の集落は静かに静かにたたずんでおりました。
昨日、高知の旧石器時代について書きました。近年の発掘成果で、いくつかの旧石器時代の遺跡が判明してきてますが、ここ瀬戸内海での旧石器時代の遺跡は桁が違います。文字通り、ケタ違い。瀬戸内の島々にはおびただしい数の旧石器時代の遺跡があり、出土する石器の数もおびただしい。
旧石器時代。今から1万年〜2万年前。幾度も書いてきたように、2万年前の海水面は今より100m以上低く、1万年前でも30m〜40m程度には低かったので、この備讃瀬戸の島々は陸続きでした。この備讃瀬戸は、30mの海面低下でも、島々は陸続きになり、その間に谷が刻まれ、湖沼ができ、恐らくは瀬戸内でも最適な猟場を形成していたのではないか、と想像されてます。
出土する石器としては、サヌカイトが優勢。讃岐の山で採れるカンカン石、サヌカイトは、石器材料として重宝され、日本各地から出土してます。与島で出土するサヌカイトの原産地は、蛍光X線法による比定で、香川県国分寺町国分台や、坂出市城山、金山とされてます。この橋の向こう。近い。ちっかい。
石器材料が近くで入手でき、山、河川、谷、湖沼が混じり合う豊かな土地。それが、この備讃瀬戸だったのではないか。なのでこの与島からも、各所で、たくさんの石器が出土しているのだと思われます。高知と比べたらケタ違いの。
そう考えてくると、高知の奥谷南や高間原で暮らした旧石器人というのは、かなり変わり者やったのかも知れんですね。わざわざ急峻な四国山地を越えて、さほど狩猟に便利でもなく、石器材料にも乏しい土佐の海岸に住み着いた人たち。新しい希望の土地を目指してきたのか、チャレンジャーだったのか、それとも豊かな場所には居られなくなった人たちなのか。
そんな妄想が暴走する、与島の朝。美しい風景に心洗われながら、本州へと向かいます。頑張って仕事仕事!