てんぷら〔7129〕2022/10/22
2022年10月22日(土)薄曇りの朝
まあ、高知県人なら常識やけど、高知で「てんぷら」と言うと、すり身天のことですね。いわゆる、あの、衣のついた「天麩羅」も「てんぷら」ではあるけど、普通に「てんぷら買うてきて」と言われたらすり身の天ぷら、東京とかでは「さつま揚げ」と呼ばれるような天ぷらを買うて来んと、叱られます。
まぎらわしいので、すり身の天ぷらを「じゃこ天」とも呼んだりするけど、「じゃこ天」って、ウィキで見たらこう書いてます。愛媛県南予地方の海岸部で作られる特産品だと。
宇和島のじゃこ天、とか言いますもんね。だから、高知の人が食べる「てんぷら」は「てんぷら」であって、「さつま揚げ」でも「じゃこ天」でもない、という気もするけど、どうでもいいですか?
ちなみに、「薩摩揚げ」をウィキで見てみると、中国由来の料理が琉球経由して薩摩に伝わり、そこから全国に広まったから「薩摩揚げ」、などと書いてます。もちろん全国に、魚肉のすり身を揚げたものは存在するけど、それこそが「てんぷら」で、天丼に乗っているのは「天麩羅」だ、と、高知県人は強く主張しているのでした。少なくとも、僕ら世代は。
今の若い高知県人はどうなんでしょうかね。もし、「てんぷら」のことを「すり身天」とか「じゃこ天」とか呼んでいたら、ちょっと、寂しい。「さつま揚げ」に至っては論外だ。
ウィキで「天ぷら」見たら、どうやら西日本では、魚肉のすり身を揚げたものが「てんぷら」であることが一般的であった、らしい。江戸時代の料理書では、天丼に乗っているのも、すり身を揚げたのも、両方「てんぷら」と説明しているそう。なので、ややこしいけど、僕らが松岡で売っているやつを「てんぷら」と呼ぶのは由緒正しいので、ある。知らんけど。
「てんぷら」の語源については諸説あるようやけど、僕の愛する「大言海」には、こう書いてます。
『テンプラ 天麩羅
西班牙語、及伊太利語、Tempora
天主教にて、金曜日の祭の名。(耶蘇、天上の日)此日、潔斎にして獣肉を食はず、魚肉、鶏卵を食ふ、因りて此日の魚料理の名に移りたるものかと云ふ。』
そして、こう続きます。明治期の日本人にとって「天ぷら」がどういうものであったのかがよく解る文章。
『(一)料理の名。魚肉を、小麦粉を水に溶したるにまぶして、油揚げにしたるもの。又、丼鉢に暖かなる飯を盛り、其の上に味を附けたるテンプラを載せたるを、天麩羅丼と云ひ、略して天丼と云ふ。』
さらに、こう続く。
『近年、鶏卵の黄身を加えて色黄なるを、キンプラと云ふ。(ハイカラよりバンカラに移れるが如し)』
ここで言う「近年」は、大正の頃でしょうか。知らんかったねー「きんぷら」。
まあ、ともあれ、高知で「てんぷら」は「てんぷら」で、その名店「松岡かまぼこ」さんでは、今日も、朝から賑わってます。たくさんの商品が並んでてどれもうまそう。
そして。
もちろん、「アテはテンプラ カモカナ!!」の第二巻も、売ってます。忙しそうにない時間帯に行ってあげてくださいね。丁寧に、サインしてくれます。
今日は上天とミンチボールの気分やねー。