第二次世界大戦と独ソ戦と、今〔6964〕2022/05/10
2022年5月10日(火)晴れ
昨日はロシアの戦勝記念日ということで、プーチン大統領の演説に注目が集まりました。心配されていた「戦争宣言」は為されず、それはそれで良かったけど、これからどうなっていくのかがとても気になります。
机の上の置いてあるのは、アントニー・ビーヴァー著「第二次世界大戦」。第二次世界大戦というと、日本人にとっては太平洋戦争で、ヨーヨッパ戦線がどうなっていたのかについては、そんなに興味もないし知らない、という方も多いのではないか。しかし、第二次世界大戦が世界大戦であるのは、その戦場がヨーロッパ全土にも広がっていたからなのである、と思ってます。
中でも独ソ戦の悲惨さは、それぞれの指導者が極端な独裁者であったこともあり、筆舌に尽くし難いものとなっています。太平洋戦争における日本人の犠牲者は、戦闘員210万人~230万人、非戦闘員55万人~80万人と言われているけど、独ソ戦の犠牲者は桁が違います。中でもソ連。戦闘員の犠牲者が870万人~1140万人、民間人犠牲者が450万人~1000万人で、その他に疫病や飢餓で800万人~900万人が亡くなったというから、文字通り、桁違い。そんな戦いが行われた第二次世界大戦について、この分厚い3巻の本は、知らなかったことを教えてくれます。
ヒトラーが、そしてドイツが考えていたこと。それは、「電撃的勝利によって半年でソ連を崩壊させて降伏に追い込む」こと。しかし、広くて寒いソ連の抵抗は凄まじく、予定通りにことは進まなかった。そして戦線を広げすぎたドイツは補給も続かず、ソ連の反転攻勢が始まり・・・という歴史。
これ読んで、どっかで見た風景だと思うんですね。当時のソ連は攻め込まれる方やったけど、今回は攻め込む当事者になっていて。だから、歴史を学ぶ、歴史に鑑みるということは大事だと思います。
この「独ソ戦」では、ドイツの戦争に対するスタンスが考察されてます。最初は「通常戦争」「収奪戦争」「世界観戦争」が並行する形で始められた。しかし、通常戦争での優勢が危うくなると、収奪戦争と世界観戦争(絶滅戦争)の比重が高くなる。そして敗勢が決定的になると通常戦争が「絶対戦争」に変質し、史上空前の殺戮と惨禍をもたらした。そう分析します。
戦争目的を達成したら講和で集結するようなものではなく、世界観戦争となり、敵と定められた者の生命を組織的に奪っていく絶滅戦争となっていった。
歴史も学んでいると思われるプーチンが、ここで何を考えるのか。ドイツのその後の運命を最も知っているのがプーチンだろうし。この本にあるような最悪の歴史を繰り返さない為に、ロシアが、世界がどうするべきか。人類ほど、学習能力のない生物は居ないのか。
今一度、この本を読みながら、それでも人類の叡智と未来を信じたい。