土佐史談と独ソ戦とクリミア戦争と本屋大賞〔6963〕2022/05/09
2022年5月9日(月)薄曇り
大型連休も、終わり。今日から仕事、という方も多いと思いますが、体調に気をつけて頑張りましょう。コロナが気になるけど、このまま収束していってくれると、嬉しい。
そんな、なんとなく夏休み最終日みたいな感じのする慌ただしい昨日の日曜日、観光客さんがまだ溢れている日曜市の横のオーテピアで、土佐史談会の総会がありました。去年はコロナでできんかったので、2年振り。1917年に発足した由緒ある、そして錚々たる先輩方の業績に彩られる土佐史談会。こういった組織、全国的に人材不足や高齢化に悩まされている訳やけど、近年の土佐史談会では、結構若手の活躍が目をひきます。
年に3回刊行し、最新刊は279号の「土佐史談」。それに精力的に論文を寄稿されているのが、土佐清水の田村さん。昨日、高知新聞の読者の広場に「歴史を通じて学ぶべきこと」という投稿が掲載されてて、まだ56歳であること、知りました。
昨日の総会でも久々にお会いし、「一度清水の方へも来てみてくださいよ」と言われてしまった。行きたいねー。地質も歴史も面白いし。
で、その高知新聞の投稿には、第132震洋隊土佐清水基地のできごとが、書かれていました。1945年8月15日、敗戦を知った隊員たちが、弾薬で集団自決しようと決める。その時、上官であった渡辺部隊長が、「その若い力を日本再建に発揮することこそ、国に尽くすただ一つの道である」と諭し、とどめた、という話。思い出すのは住吉の第128震洋隊。こちらは、8月16日、海軍はまだ戦争を続けるといった誤情報に基づく、誤った出撃命令で出撃準備を始め、ガソリンに引火して弾薬が爆発し始め、次々に引火爆発して111人が犠牲になったという悲劇。戦争は終わっていたのに。
土佐清水と住吉。対照的な戦後を迎えた訳やけど、上に立つ者の重要さが伝わってくる話です。
今日は5月9日。1945年5月9日は旧ソ連がドイツに勝った日、ということで、ロシアにとって非常に大事な日である、と、幾度も幾度もメディアで伝えられています。
第二次世界大戦でも、最も悲惨で犠牲者を多く出した独ソ戦。この新書「独ソ戦」は、非常にわかりやすく簡明に、独ソ戦の悲劇を教えてくれます。そして、何度も何度も戦争の当事者となり、取った取られたの舞台でありつづけてきたクリミア半島。この分厚い「クリミア戦争」という本は、戦争のあり方を根本的に変えた戦争とも言われ、そのあり様が、第一次世界大戦、第二次世界大戦へと発展していったとされます。
なぜ、クリミア戦争が起きたのか。どんな戦争だったのか。
今、これを知ることも、これからの戦争、社会を考えていく上で重要なことだと思います。これもひとつの、「歴史を通じて学ぶべきこと」。
世の中は変わる。社会は、高度になってゆく。なのに、、なぜ同じことを繰り返すのか。過ちがおわらないのか。しかし、ちょっとでも良い方向に世界を向かせる為には、過去に学ぶことも必須だと思います。
今年「本屋大賞」を受賞したこの「同志少女を敵を撃て」は、独ソ戦を戦うソ連の少女、ウクライナ出身の少女、カザフの少女たちが主人公。すごいタイミングで書かれたものだ。ちょいと若者向けではあるけど、こういう本で、若者たちが戦争のことを自分のものにしていくきっかけが生まれたらいいね、などと思ったことでした。
そんな訳で5月9日。さあ、僕は僕の仕事を始めよう。