高知種畜場から工科大学へ〔6930〕2022/04/06
2022年4月6日(水)晴れ
今朝は、高知県中央家畜保健衛生所香長支所さんに用事があったので、その近所の鏡野公園に寄って撮影してきました。ご存知、桜の名所、鏡野公園。まだ、かろうじて桜の花びらも樹々にすがりついてる感じで、風が吹くと桜吹雪が美しい。
以前にも書いたけど、ここは、昭和53年まで種馬所でした。しゅばしょ。正式には「高知種畜牧場」みたいですが、みんな種馬所と呼んでました。その種馬所の南半分、元々放牧場のように整備されてた広い場所は、今は鏡野公園。施設建物などがあった北側が、工科大学になってます。
そうそう。種馬所の後、林業試験場であった時代もありますが、その印象は薄くて、地元の古老はみんな「しゅばしょ」と呼んでますね、今も。
スマホに表示してあるのは、戦前の地図。「鏡野公園」という現在の地図表記がかぶさって見にくいけど、「高知種畜牧場」と書かれています。戦前、馬は、軍隊でも重要な役割を果たすこともあって、その育種育成は国家としても重要なものでした。その、四国の拠点となったのが、ここ。それは、土佐が、昔から優秀な馬の産地であったことが背景にあると言います。
で、草競馬も盛んだった話は、幾度も書きましたねー。新川の草競馬や、星ヶ窪の草競馬などなど。
終戦後、娯楽に人々が飢えた時代に、この種馬所でも草競馬が行われた、みたいな話を聞いたこと、あります。
スマホの、青丸のところに立って、北向いて撮影しました。当時の、入り口から本部方面へと向かうメインストリートは、今もそのまま、伊吹並木とともに残っています。そして桜も、種馬所の時代に植えられたものが、今、お花見名所となっているのでした。
突き当たりが、種馬所の主要建物があったエリア。そこは今、工科大学の本部に。そう。歴史の文脈は引き継がれるという法則が、ここにもあったことに驚かされます。
陸軍歩兵第四十四連隊の連隊本部があった場所は高知大学の大学本部になり、海軍高知航空隊の本部跡には高知大学農林海洋学部の本部が置かれ、そして種馬所の本部跡は高知工科大学本部となっているのでした。
まったく新しい施設をつくる訳なのに、それ以前の文脈が引き継がれていくというのは、なかなか面白い事象ではありますよね。
桜のピンク、芝生の緑、そして工科大学の赤レンガ。絵のように美しい風景が、歴史の文脈の上に、展開されています。