雪の結晶と科学者の生き様〔6882〕2022/02/17
2022年2月17日(木)晴れ
「雪は天から送られた手紙である」は、実験物理学者であり、雪の結晶の研究者であり、随筆家でもあった中谷宇吉郎博士の言葉。雪の、あの六角形の結晶が、どんなメカニズムでできていくのかを解明した、偉大な科学者。
物理学という、一般人には馴染みが無さそうな世界を、とてもわかりやすく広めた功績も大きい。この手法は、中谷博士の師匠である、我らが寺田寅彦先生直伝のものでありましょう。東京帝国大学で寺田寅彦先生に学び、理化学研究所で寺田寅彦先生の下で働いた中谷博士は、身近に起きる現象の不思議さを解明する楽しさと、それを美しい文章で伝えていくことの大切さを、間違いなく寺田先生から学び取っていますね。
で、雪の結晶を人工的につくることに成功したのは、1936年3月12日のこと。北海道帝国大学教授であった中谷博士の大仕事。今も、その最初の装置は低温化学研究所に保存、展示されてるんだそう。
そして、生まれ育った石川県加賀市には、「中谷宇吉郎雪の科学館」なるものがあります。知らんかったけど。寺田先生の弟子であるけど、ある意味、その業績は師匠よりも一般に知られているようです。現在、オーテピアの前に立つ寺田寅彦先生像の台座には「ねえ君、ふしぎだと思いませんか」と刻まれており、その考え方、生き様が中谷青年に強いインパクトを与え、そして雪の結晶のメカニズムを解明していったのでありましょう。
科学者には、いろんな生き様、考え方が、あります。その手法や経歴は様々で、寺田先生などは王道の研究ルートを進みながらも色んな趣味を持ち、いろんな興味にどんどんと突き進んでいったように見えます。尽きることのない溢れ出る興味に、アカデミズムのど真ん中で取り組んでいく。
対照的なのが、来年の朝ドラで主人公となる牧野富太郎先生。ドラマでも明らかになっていくように、学歴のない富太郎先生は、アカデミズムのど真ん中に弾かれながら、強烈な意志と努力で、大仕事を達成していっております。その、人生に対する強烈な意志は、18歳のときに自分で自分を律する為に書いた「赭鞭一撻(しゃべんいったつ)」という覚え書きに、溢れ出ていますねー。
その強烈な15条の覚え書き、18年ほど前、5回に分けてこのにっこりで紹介したこと、あります。
1条から3条まで。4条から6条まで。7条から9条まで。10条から12条まで。そして13条から15条まで。
この、この冬最後と思われる冷え込みの中でカチバリついちゅう車のフロントガラスを撮影しながら、科学者の生き様について考察してみました。僕も頑張らんと、いかん。