コロナ、コレラ、JOHN SNOW〔6725〕2021/09/13
2021年9月13日(月)曇り
なんとなく秋の気配が訪れる朝。夏はどこへ行ったんだ?
さて。高知のコロナ新感染者数も、少しづつやけど減ってきました。このまま収束するのを願うばかり。ワクチンが広まって集団免疫ができあがるまで、辛抱辛抱。
でも、やはり一定数、過激な反ワクチン論者がいたりします。集会やデモやったりしてね。何かの論文や報告書の一部を切り取って、あたかもエビデンスがあるように間違った噂を広めるヤカラがおるのも、問題。また、ネットリテラシーの問題もあるよね。まだ、ネット社会というのは最近できた構造なので、使い方や接し方が理解できていない人たちが、陰謀論のようなものに踊らされる風景は、少し寂しい。今は、かなり科学的に原因と結果が追求できる世の中。昔とは違います。
まだ、伝染病、感染症の原因がわかってなかった時代。いや、そんなに昔のことではありません。
例えばコレラ。
西洋社会のアジア進出を経て、南アジアからヨーロッパに伝播していったコレラ。19世紀のイギリスでも、大流行が3度。20世紀になるまでに夥しい人命が犠牲になりました。
その現象を、現代人の目から検証すれば、それは人から人へと伝染する病気だということは、明らか。誰が見ても、そう思える。けども19世紀。もう、産業革命は進んでいたイギリスでも、なかなかわからなかった。で、変な匂いのする空気が、その病気をつくりあげるのだ、という説が一般的だった。
で、コレラの予防法として大真面目に提唱されたのが。
寝室のドアを開けて眠る
タバコや大麻を吸う
野菜、サラダ、ピクルスなどを食べない
ガッタパーチャ(樹液でできたゴム状の樹脂)でできた靴を履く
などの方法。
もちろんそれで収束する訳もなく、猛威を振るったコレラ。
1854年の大流行の時、ロンドンの医師、ジョン・スノウという人物が、ロンドンでの感染地図をつくり、これが、人類を大きく前進させることになったのでした。
その地図で、ロンドンにあった2つの水道会社の水源と感染者の因果関係を突き止め、水道によってこれら感染が広がっているという仮説を提唱したのでした。
そしてもうひとつ。スノウは、1854年にソーホー地区で数本の小道沿いに住む200人の住人が同時にコレラで倒れたことに注目。10日で500名超の死者を出したソーホーの、死者の数を地図上にプロットしてみたのでした。この左側の地図。黒い線が、死者数。真ん中の、黒い線が一番積み上がっている場所の横に「PUMP」とあるのが見えるでしょうか。そう。その井戸を使用していた人たちがコロナに感染していたことを突き止めたのでした。
ストリートビューで見てみました。この右手。ここにあった井戸が、ソーホーの数百人に命を奪った感染源だったことをスノウが突き止め、その地図は、今も伝説の地図として伝えられているのでした。
おう!今気付いた。この右手の角にあるパブの名前、JOHN SNOWではないか!
やはりここは、伝説の場所であり、偉人へのリスペクトを忘れていない英国人。
今朝書いてるのは「パンデミック・マップ」という本の情報。
大事なのは、情報に恣意的処理をしないこと。スノウは、自分に不利になるようなデータも客観的に公開しました。この写真の左手にあったビール醸造所では、井戸に近いのに70人の従業員全員が無事だった。よく調べてみると、その醸造所では全員が無料でビールを飲める為、井戸水を飲んでいなかったことが判明し、結局、スノウの説を補強することになった、という話。
大切なのは、科学的な研究を、科学的に検証して、科学的客観的に評価すること。政治家は、それを客観的に真摯に受け止め、政策に反映する。
こういう火急のとき、科学者を蔑ろにしてはいかんのでしょう。こういう時に「トンデモ」言説をまことしやかに繰り出すヤカラが出てくるのは、人間社会の常。こういうときこそ、科学的に。客観的に。「信頼のおける」科学者の言うことを、聞きたいものだ。
まあ、それはそれとして月曜日。今週も頑張って仕事仕事!