ワスレナグサ、キュウリグサ〔6600〕2021/05/11
2021年5月11日(火)晴れ!
鉄砲が日本に伝来したと言われるのが、1543年。ポルトガル人が種子島に漂着したとかなんとか。なんか語呂合わせの覚え方があったような気もするけど、忘れました。とにかく日本では戦国時代が始まってた時期にぼっちり当たってて、戦国の戦い方に大きな影響を与えた、鉄砲。
そんな鉄砲が、本場のヨーロッパで衝撃を与えた戦いが、1513年、フランス軍と神聖同盟が戦ったノヴァーラの戦いと言われてます。日本伝来の30年前。
骨董品とかで必ず目にするヨーロッパの甲冑がありますよね。こんなの。本格ミステリとかで、よく、お屋敷の小道具とかにも使われるやつ。中世ヨーロッパの騎士の実際に使われたあの頑丈で重そうな甲冑ですが、あれが実戦で使われて役に立ったのは、その1513年のノヴァーラの戦いまで、とも言われてたりします。それは、あの甲冑は鉄砲で撃たれたら役に立たんかったから。いくら頑丈に作ってても、鉄砲の弾は貫通したんでしょう。
それ以後、あのタイプの西洋甲冑は完全に儀礼用になり、貴族の地位を示す装飾と成り下がっていったのでした。
話は変わってワスレナグサ。勿忘草。忘れな草。
今の季節、本社棟の周囲には、勿忘草みたいな花がたくさん、咲いてます。こんな花。薄青くて小さくて可憐。かわいいねー。
ワスレナグサは、日本名で勿忘草やけど、英語でもForget-me-not。それはドイツ語のVergissmeinnichtで、私を忘れないで、という意味とのこと。
中世のドイツでのお話。ある日、騎士ルドルフが、恋人ベルタとドナウ川の河畔を歩いていました。その河畔に可憐な花が咲いていたので、ルドルフはベルタのために、その花を摘もうとして川辺へ降りて行きました。そこでルドルフは足を滑らせて川に落ち、溺れ死んでしまったのであります。水中に消えゆくルドルフがベルタに向かって叫んだ最後の言葉がVergissmeinnicht!だった、という伝説。それで、そのとき摘もうとしてた花が、Vergissmeinnichtとなり、日本にもその話が伝わって。勿忘草。ワスレナグサ。忘れな草。
なんで立派な騎士が、足を滑らせたくらいで溺れてしまったのか。それはたぶん、重い重い甲冑を身につけてたからでしょう。知らんけど。
そうでもないと、そんなに簡単には溺れんだろうしね。Vergissmeinnichtという言葉を投げかける時間があったのも、甲冑の重みで少しづつ沈んでいった、と考えれば納得できる気も、します。しませんか?
そんな訳で、この伝説は、ノヴァーラの戦い以前の話だと想像できます。だって、さすがに、儀礼用の甲冑を逢引きに着用していったとは思えんので。どうでもいいけど。
どうでもいいけど、この花は、どうやら忘れな草ではありません。ここまでワスレナグサの話を引っ張ってきて、なんということでしょう。たぶんこの花は、キュウリグサ。とても似てるけど、ワスレナグサみたいな物語はなくて、葉っぱ揉んだらキュウリみたいな匂いがするからキュウリグサなんだそう。そのまんまやがな。
ワスレナグサではなくてキュウリグサですが、今朝も、そこに咲いてることを忘れてしまいそうなくらい小さく、かわいく、本社棟の周囲を彩っていました。かわいさでは、負けてない。