獄中のポール〔6508〕2021/02/08
2021年2月8日(月)晴れ
以前、1980年にポール・マッカートニーが来日した際、大麻所持で逮捕され、警視庁に留置された時、その留置場に偶然収監されてた人が、留置所内で、ポールにイエスタデイを歌ってもらった、みたいな話を聞いたこと、ありました。嘘かホントか知らん情報でしたが、昨日、「獄中で聴いたイエスタデイ」という本を入手して読んだところ、どうやら本当やったみたい。
本物のヤクザで、殺人罪で収監されてた男が、偶然、留置所の同じ階の数メートルしか離れていない雑居房にポール。マッカートニーが収監されてきたことを、知る。
ポールが出所する前日の夜、その男は、ポールの部屋の方に向かって「ポール!イエスタデイ、プリーズ!」と叫んだそう。すると。
OK!
の声に続いて留置所の床板を手と足で叩いてリズムを取る音がし始め、アカペラで、ポールがイエスタデイを歌ってくれたんだそう。2人の留置係も、止めなかった。そりゃあ止めれんよね。僕やっても、止めん。そしてアンコールの声に応じて、なんと4曲歌ってくれたという、ポール・マッカートニー。すごいね、まったく。
この本は、この本物現役ヤクザだった男が、このポールとの出会いと歌声によって勇気づけられ、15年の刑期を全うし、その後カタギになったという手記。カタギになったのも、ポールのお陰という素敵な話やけど、ちょっと、出来過ぎかも知れません。でも、まあ、すごい話。その男、ハンカチにサインまで貰って、今も大切に保管してるんだって。その写真が、表紙になってます。
ポールは、音楽の申し子のような人物。歌うことが好きで好きでたまらない男だ、と、思う。獄中でも、音楽の申し子、音楽の精だった。
獄中でサイン、というと、スネークマンショーを思い出しますねー。スネークマンショーでは、取調べの警察官が、ポールに向かって「ここにサインしろ!」と際限なくサインさせるネタで、荒唐無稽なギャグと思ってたけど、実際に留置所でサイン貰った人が居るなんてね。いや、すごい。
偶然、有名人に親切にしてもらった、という話で思い出すのは、大学生のとき。東京、中野区に住んでた僕は、ある日、高校からの友人で東京理科大に通うS君のアパートへ飲みに行こうとしました。常磐線の柏駅から東武野田線で一つ目、豊四季駅の近くにあった、S君のアパート。都内で飲み会があった後に出かけたので、柏駅に着くと、東武野田線の終電が出た後。仕方ないので、雨の中、豊四季駅方面へと歩いたのでした。柏から豊四季までは約2km。
同じように終電に乗り遅れたおじさんが、同じ方向へと歩いていく。当時はもちろんスマホなんかも無いので、道が合ってるのかどうか心配になったので、そのおじさんに、道がこれで合ってるかどうか聞いたのでした。そしてなんとなく話をするうち、そのおじさんに、一軒一緒に飲んでいくか、と誘われて、道沿いの、そのおじさん行きつけのスナックへ。
そして、朝の4時まで飲んだのでした。
おじさんは親切に奢ってくれて、至れり尽くせり。店のママさんの話でわかったのは、そのおじさんは、有名なイラストレーターということ。ウィークエンダーという番組の、あの有名なロゴや、当時ブームとなった新政党「新自由クラブ」のロゴを作った人、と言うてましたね。
かわいそうなのはS君で、ドロドロのベロベロになった、雨に濡れた酔っ払いの僕は、そのままS君の部屋に転がり込んで寝たのでした。
ポール・マッカートニーと柏のイラストレーターさんでは、ちょっと違うかも知れんけど、世の中、有名人の親切に感動することってありますよね。人生、捨てたもんではありません。なんか、今も強烈に覚えている一晩でした。
少し寒い朝。ホットミルクにはちみつ垂らして。暖まって免疫力つけて、仕事仕事!
一週間が始まります。