5年前のネアンデルタール人とコロナ〔6397〕2020/10/20
2020年10月20日(火)晴れ
なかなかコロナもしぶとい。景気は、少しづつ戻ってみたいで、町の人出も増えてきました。けど、まだまだ平常には遠い生活が続きます。完全に元には戻らない、という話もよく聞くようになった今日この頃。これから冬に向かうので、要注意。
丁度5年前の今日。2015年10月20日のにっこりひまわりには、こんなこと書いてます。現生人類の遺伝子には、ネアンデルタール人の遺伝酢が数パーセント含まれていることがわかった、という話。その時に読んだのは、「ネアンデルタール人は私たちと交配した」という、ちょいとセンセーショナルな表題の、本。
ゲノム解析技術が進歩する中で、化石に残るネアンデルタール人の遺伝子解析に成功し、現生人類の遺伝子に、ネアンデルタール人の遺伝子が数パーセント含まれていることを突き止めた、スヴァンテ・ペーボ博士の本。いやー、衝撃的でした。衝撃的すぎて、当初はなかなか理解されんかったとも言います。今も疑問視してる学者もいるくらい。その後、これまた劇的に遺伝子解析の技術が進歩して、ペーボ博士の主張の正しさがかなりの精度で証明されてきたのでした。更に、去年の4月にご紹介した「交雑する人類」で書かれたように研究がどんどんと進み、現生人類は、いろんな地域でネアンデルタール人やデニソワ人などと交雑、複雑なルートを辿りながら広がってきた、ということもわかってきたのであります。
で。
この度そのペーボ博士が科学雑誌ネイチャーに発表した論文によると。新型コロナの重症化リスクには、ネアンデルタール人の遺伝子が関係している、という研究成果が書かれているんだそう。言われてみたら、なるほど、と手を打ってしまいました。そういう可能性は、たしかに、あるよね。
人類のゲノムの中には、ウィルス由来のものがたくさん含まれてて、遺伝子と感染と重症化の間には、深い関係がありそうですもんね。
で、ネアンデルタール人との交雑によって現生人類に伝わった遺伝子の一部が、新型コロナを重症化させている可能性が高い、という研究。まあ、まだ「研究」で、実証された訳ではないけど、可能性としては「アリ」と思いました。
ネアンデルタール人の遺伝子比率が低い東アジア人が重症化しにくい、という話が、理論的に裏付けられる「かも知れない」研究ですな。いやはやまったく。今一度、「ネアンデルタール人は私たちと交配した」と「交雑する人類」を読んでみようか。
ペーボ博士は、マックス・プランク進化人類学研究所のディレクターやけど、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の兼任教授でもあるんだそう。OISTってのはものすごく評価が高くって、そこに行った人はみんな「最高」と言うてる研究環境。ウィキにはこう書いてます。一般にはあまり知られてないけど、すごいね。
丁度5年前の今日、このにっこりで触れた研究が、新型コロナ研究につながってて話題になってる訳です。今日も、あの日と同じように、キンモクセイの馥郁たる香りが漂っている、本社棟。