地質の専門家と石垣の専門家〔6395〕2020/10/18
2020年10月18日(日)晴れ
昨日はちょっと降ったけど、今日は晴れ。雲は少し多め。そして、ちと、寒い。「今朝は冷やいねー」という挨拶が、街のあちこちから聞こえてきます。
昨夜、ご縁があって、地質の専門家の方と飲んでました。いやー、楽しかったし勉強になりました。素人の趣味も、こうやって時々専門家の方のキチンとした啓蒙を入れることで、一層楽しくなるのでした。
以前から書いてる、棚田と地滑り地帯の関係も、よくわかりました。そして御荷鉾帯と棚田と地滑りの関係も。大豊町の怒田や八畝の素晴らしい棚田は、御荷鉾帯という地質にあります。みかぶたい。御荷鉾帯は、粒子の細かい泥を形成しやすいんだそう。そうすると、山水は、その泥の上を流れることになる。染み込まずに。それが、水田をつくるのに適しており、豊富な山水を利用しやすいことから、棚田が発達、あの、見事な風景をつくりあげていくことになった訳だそうです。理屈、よくわかりました。その棚田とかを利用して、今、弊社「菜食健美」の原料野菜を作ったりするようになった訳で、どれもこれも御荷鉾帯のおかげ、という訳だ。訳です。訳やけど、これは同時に地滑りを起こしやすい地質である、とも言える訳で、ここで、自然と人間の折り合いのつけかたが問われるのでありました。人々は、自然の恵みと脅威の中で、生き抜いてきたという事実。
専門家といえば、昨日お会いした穴太衆の頭。江戸時代初期から、穴太衆の技術を今に伝える栗田建設の社長さん。栗田さんのお話で、野面積みの素晴らしさを聞くことができました。
たしかに見た目では、打ち込みハギとか切り込みハギとかが、きれいに見えるかも知れません。表面が平らで、石と石の間が直線になって隙間がない。一見、ビシっとして頑丈に見えます。
野面積みは、自然石を切らずに使うので、表面は凸凹してて、隙間も多い。ところがこの隙間が重要なんだそう。
野面積みだと、石と石は、壁面より少し入ったところで触れ合ってます。これにより、少し遊びができる。この遊びが、地震などの揺れに対しての緩衝となり、ずれたり崩れたりすることを免れる、という理屈。壁面がビシッとしてて隙間がないと、遊びがないから、地震などでずれたり崩れたりしやすいんだそうです。なるほど。
そう聞いてから、野面積みの石垣を見ると、その機能美がとても美しく見えるのでした。
写真は、今朝の高知城の石垣。穴太衆によって積まれた野面積みの石垣が、なんともかんとも美しい。そう言えば、僕の石積みのバイブル「石積みの秘法とその解説」に、一番強い石積みは「鬼積み」と書いてました。それは自然の石を職人の技術でランダムにガチガチに積んだもので、穴太衆の野面積みに通じるものがありました。
遊びが大事。強いは美しい。そんなことを知ったのでした。専門家のお話は、聞くに如かず、ですね。