天アンカット〔6377〕2020/09/30
2020年9月30日(水)小雨
愈々、9月も最終日。明日から10月。こないだまで暑い暑い言うてたのが嘘のよう。秋真っ盛りになってしまいました。2月頃、コロナが流行り始めた頃は、こんな季節までこんな騒動が続くとは思ってませんでした。まさかよさこいが中止になって、弊社の若い子がこんな動画を作ることになるなんて。
さて、秋。
秋深し 隣は何をする人ぞ
ではないけど、秋はいろんなことができる季節。やりたくなる季節。気候がよくって、気持ちがいい。食べるものはおいしいし、体動かしても暑くないし寒くないし。そして、読書ね。静かな秋の夜、本読むのもいいっすね。
で、本について、昨日初めて知ったこと、あります。迂闊にも、知りませんでした。知らんかったのは僕だけやろうか。あまりにも見慣れた、当たり前のこと。
それは「天アンカット」。
普通の本は、製本した最終段階で三方を裁断してバシっと揃えてます。それに対し、わざと裁断しないでデコボコにしてるのが「アンカット」なんだそう。今も、趣味の手製本のものなどにあるそうで「フランス装」とか呼ぶこともあるとか。つまり、ちょいとお洒落なんですね。デコボコが。
日本では「アンカット」本は作られてないけど、「天アンカット」なら、あります。上部だけ化粧裁断せず、仕上げている本。確かに時々、気になってました。底面はきれいに裁断されてるのに、上部がデコボコしている文庫本。そして、製本の都合でそんなになってるものだとばかり思い込んでた僕の人生。
それなのに、ああそれなのに。
昨日、ツイッターでこんなやりとりを発見したのでした。
ある本屋さんが、本の上がギザギザになった製本ミスが結構ある、というお客様からの疑問に「それは製本ミスではなく、天アンカットという格調高い製本方法なんですよ。」と答えた話をツイートされており、そのツイートに対して新潮文庫さんが
「ありがとうございます!全国の皆様、新潮文庫の天の不揃いは、フランス装の雰囲気に似せようと、少しばかりお金のかかる天アンカットというやり方で製本してもらっているのでございます。故意に、わざと、知ってて、かっこよさ追求のためにやっているのであって、ミスではございません。」という熱のこもったリツイート。
そうだったのです。
新潮文庫、岩波文庫、創元推理文庫、岩波新書、ハヤカワ文庫が、天アンカットを採用してるんだって。知らんかったー。しかもこっちの方がお金かかるんだそう。そもそも岩波文庫が、フランス装風の洒落た雰囲気を出すために採用した天アンカットに、新潮文庫とかが追随したものらしいね。
そこで今朝、ひまわり文庫の本で確認してみました。
左側に積んでるの。上から新潮文庫、新潮文庫。岩波文庫、ハヤカワ文庫。天アンカット。
右手に積んでるの。上から講談社学術文庫、文芸文庫、集英社文庫、角川文庫。化粧裁断。
どっちがいいかとなると、どっちでもいい。けど、文庫本にそんな思いが込められてたりするのは、ちょっと、嬉しい。お金かけて、こんなどうでもいいようなことにこだわるのって、なんか、いいと思いました。これをお洒落と感じるかどうかは別にしてね。故意に、わざと、知ってて、かっこよさ追求のためにやっているんだそうだから。
読書の秋。上部のデコボコあるなしを指で確認しながら、文庫本を読むことにしよう。
世の中は知らないことだらけ。