ポンペイ、プリニー式、クライマックス〔6340〕2020/08/24
2020年8月24日(月)晴れ
昨日は、夕刻に雷雨。いわゆる夕立。そのお蔭で、ちょっと涼しくなりました。熱された地面が、水によって冷やされた感じ。そして今朝の快適やったこと。このところ熱帯夜が多かったので、今朝みたいに吹き抜ける風が爽やかやと、油断してしまいます。そう。気温は、まだ、高い。
今日は8月24日。8月24日と言えば、古代ローマでポンペイを火砕流が埋め尽くしたヴェスヴィオ火山の噴火の日。西暦79年8月24日に始まったとされるけど、近年は異説もあって、本当のところは定かではない。その噴火の状況も、ポンペイで生き残った者、記録した者が居なかったこともあり、しかもその空前絶後の状況を、実際に見てない人たちが想像することもできなかったこともあって、正確にはわかってません。発掘調査の結果と、地学的調査によって想像するしかない、大規模カルデラ噴火。
唯一、博物学者のプリニウスが残した記録が、当時の状況を描き出しています。いわゆる「大プリニウス」が、命がけで残した記録。それによると、ヴェスヴィオ火山の噴火口付近から「松の木」のような形の暗い雲が立ち上り、それが山の斜面を急速に下って海に雪崩れ込んだとのこと。これ、ウィキからの転載。でも、有名な話ね。博物学者であった大プリニウスは、この現象を詳しく記録するのと市民を救助する為にポンペイへ急行したが、そこで有毒ガスに巻かれて死んだといいます。甥である「小プリニウス」が、伯父の記録したことを手紙に書いてくれてたお蔭で、この状況が後世に伝わりました。
噴煙が立ち上り、松の木みたいになる。これは、噴煙柱ができて、その上の密度中立レベルの高度に、傘のように噴煙が広がることを意味してます。そして。その噴煙柱が崩れ、猛烈なスピードで山の斜面を下って大規模な火砕流を引き起こす。
このスタイルの大噴火は、地球上、あちこちで発生しており、プリニウスの名前を取って「プリニー式」噴火と言われているのはご承知の通り。
で、このプリニー式噴火によってマグマが噴出、マグマ溜まりが空洞になり、そこにカルデラの陥没が始まる。その結果、マグマ溜まりから延びるたくさんの割れ目が生じ、そこからいくつもの噴煙が立ち上り、巨大な傘が空を覆った後、それが崩壊して超巨大な火砕流を引き起こす。それをクライマックス噴火と呼ぶ訳やけど、日本では、幸い、歴史時代に入ってからはそういった巨大な噴火は、起きてません。偶然。本当に偶然、起きてない。
直近では7300年前。縄文時代。土佐にも、縄文人がいっぱい暮らしてた時代。薩摩硫黄島付近で起きた、鬼界カルデラの巨大噴火。吹き上げられたマグマ総量500立方キロメートル。上記のプリニー式噴火から始まって、クライマックス噴火に至った巨大噴火は、その火砕流が南九州をアッという間覆い尽くして南九州縄文人を絶滅させたと言われてます。
有史以来最大規模の噴火と言われる富士山の宝永の噴火で吹き上げられたマグマは1.5立方キロメートル。桁が違うのね、全然。それが7300年前。
3万年前にも、同じ南九州の姶良カルデラで、半径100kmの地域を一瞬にして焦土と化したプリニー式からのクライマックス噴火が発生。1000m級の山々を軽々と超えた火砕流。
そして6万年前には、以前にも書いたけど、箱根山がこの形式で巨大噴火し、大規模火砕流は、噴火から1時間以内に横浜市保土ヶ谷区までを覆い尽くして焦土としてます。
でね。箱根火山は、この規模の噴火を、過去30万年に4度、しでかしてるのであります。
今から9万年前の阿蘇山大噴火は、更に凄まじい。大火砕流は九州ほぼ全域から愛媛県の一部を焼き尽くし、マグマの噴出総量はなんと、1000立方キロメートル。宝永の富士山が1.5立方キロメートルですきんね。
そして、こういった巨大カルデラ噴火を、日本列島では、過去12万年で11回経験しているのでありました。1万1千年に、1度。前回が7300年前。これをどう考えるか、ということ。
そんなん想定してたらなんにもできん、と、聞かんかったことにするのも、一つの方法では、あります。もし発生してもそれは「想定外」だったから仕方ない、とする方法。
現在は、たぶん、その方法がみんなの頭の中、心の中で採択されてる感じ。
8月24日、ポンペイ最後の日に、地球と真剣に向き合うことも、大切だと思いました。地球には、なかなか勝てませんきに。
今日から高知では新学期。高知で8月24日の新学期というのも空前絶後でしょう。ウィルスも、地球の一部。それを思えば地球と向き合うのも大変やけど、それが人類の定め。
地球と真剣に向き合っていかんと、いけません。
そんなこんなで二学期が、今週が、今日が、始まる。