皿屋敷〔6330〕2020/08/14
2020年8月14日(金)晴れ
夜明け前の空には、冬の星座が輝き始めました。夏来りなば、冬、遠からじ。オリオン座のベテルギウスは、今も、少し小さめ暗め。超新星爆発が今にも、という話は下火になったけど。
その左には明けの明星、金星。東の空が明るみ始める午前4時半。
ここは、南国市篠原の電車道。
暑い夏には怪談話がつきもの。ちょいと涼しい気分になりますきんね。
怪談と言えば、番長皿屋敷ね。どうやら江戸時代中期に、講談話で有名になった怪談。江戸、牛込御門内五番町の青山家。そこの下女、お菊さんが、主人が大切にしていたお皿を割ってしまう。主人は激怒して、お皿一枚の代わりに、お菊の中指を切り落として、監禁。お菊は、そこを抜け出して裏手の古井戸に身を投げてしまいました。それから、夜になると井戸の底から「いちまい、にまい、さんまい ・・・ 中略 きゅうまいー・・・いちまい足りない・・・」
青山家で生まれた子供に中指がなかったりして、その話が公儀に聞こえ、青山家は所領没収。その後も井戸の底の声は、夜な夜な続いたが、あるお坊さんがやってきて読経、井戸の声が「9枚・・・」まで数えたところで坊さんが「十」と言うと、「あらうれしや」という声がして、二度と声はしなくなった、という、まあ、結末はちょっとね、という感じなので、落語バージョンではもっと気の利いたオチになってたりします。
番町皿屋敷の前に、そのモデルとなったような、同系統の話が存在しました。播州皿屋敷。また、番町にも播州にもいろんなバージョンがあり、そのほか、皿屋敷伝説は全国各地にあります。ウィキ見ると、土佐国幡多郡にもありますねー。そこに登場するのも、青山さん。
前置きが長くなりました。
実は、この向こうに「春喜さま」という小さな祠が鎮座まします。電車通から南へ少し入ったところ。
そこに、藩政期、渋谷権右衛門という郷士が住んでおり、近在の「春喜」ちゃんという娘を女中に雇っておりました。評判の美人。権右衛門の弟、藤四郎が、春喜に好意を寄せて言い寄るも、断られる。そこで逆恨みし、復讐を試みる。今だったらストーカー規制法に引っかかってしまいそうな、嫌なやつ。渋谷家には代々伝わる家宝の皿がありました。権右衛門からは特別に大事にせよ、と言われていた、お皿。ある宴席の後、春喜は、お皿を洗っておりました。藤四郎は、そのお皿の一枚を隙を見て隠してしまう。激怒した権右衛門は、春喜を折檻して殺してしまったのでした。やること、無茶やがな。
その夜から、渋谷家には、謎の事件が続くようになる。丑三つ時になると、春喜の声で「いちまい、にまい、さんまい・・・」最後は悲痛な泣き声にかわっていったとのこと。
藤四郎は高熱にうなされて悶え苦しんだ末に血を吐いて死んだそうです。
そう。
ここにも皿屋敷の話、ありました。番町みたいに、偉いお坊さんが「十」と言うた話がないので、今も、丑三つ時には「いちまい、にまい、・・・」なのかも知れない。
実はそこ、高知では有名な心霊スポットやったりします。今は、ビルの廃墟とか、見るからに恐ろしげな心霊スポットに押され気味ですが、歴史と伝統で言えば「春喜さま」。
なので、丑三つ時は避けて夜明け前の時間に、少し離れた場所から撮影してみた、という訳です。丑三つ時に近づくのはね。ちょっとね。
ウィキ見てると、「皿屋敷」の話は、土佐の子供の鬼遊び「手々甲(セセガコウ)」に由来する、という説もあるんだそう。手々甲と春喜さまの関係は、わかりません。
涼しくなりましたでしょうか。
でも、熱中症対策にはなりません。やはり、暑い夏には牛乳でしょう。熱中症対策には怪談話よりも、牛乳を飲もう。
今日も暑い一日が、はじまります。さあ。牛乳飲んで、仕事、仕事!