この石段だ〔6198〕2020/04/04
2020年4月4日(土)晴れ!
大林宣彦監督の「尾道三部作」って知ってます?
1982年の「転校生」と1983年の「時をかける少女」と1985年の「さびしんぼう」。いずれも、尾道の、あの、坂道だらけで趣きのある風景を背景に描かれた映画。
いや、そんなに映画を観ない僕だから、大林監督の映画って、この三部作と「漂流教室」くらいしか観てません。
だから偉そうなことは言えんけど、「転校生」は好きだった。なんか、青春ね。青春。
丁度僕が大学生の頃の作品で、まあまあ話題になりました。そしてなにより、尾道の風景が素晴らしかった。あれで尾道に憧れました。
そんな訳で、今朝は尾道。
こんなコロナ騒動の中で、何をしてるんだ?と言われそうです。が、理由があります。昨日。大分から福岡へと移動して仕事してたのはご承知の通り。ご承知ではないかも知れんけど、とにかく福岡でした。諸々あって、北九州へ移動し、広島へ。車です。自分の運転です。だからコロナは大丈夫に違いない。
広島着いた時点で、夜の8時前。そして腰が痛い。長距離運転で腰へきてしまった。高知まで運転して帰るのは厳しい。とっても厳しい。翌日、つまり今日はそんなに急いだ仕事もないので、仕方ないから行けるとこまで行って、泊まることにしたんですね。で、行けるとこまで行ったら尾道でした。
福山にしようか尾道にしようか迷ったけど、なんとなく尾道。海沿いの、少し寂れた感があるホテルに泊まって、爆睡し、今朝は5時半から尾道RUN。
「転校生」が好きだったから、今までに尾道の旧市街、坂のある風景を楽しんだことありそうなもんだけども、まだ30代の頃、団体さんで来たことがあるくらい。「転校生」の風景を楽しんだのは、今朝が初めてでした。ああ。よかった。とってもよかった。本当によかった。
福山尾道界隈は、山陽道の交通の要衝でもあり、かなりの経済的発展をみている地域。ショッピングセンターとかもあるし。ところが尾道旧市街。商店街も含めて、それこそ時間が止まったような、昔ながらの、そして少し寂れたような、古い、味わいのある街並が広がってます。
花崗岩の山の斜面に、狭い小径や石段、坂道が迷路のように這い回る、町。
シャッターの多い商店街から、鉄道の踏切を渡って、花崗岩の石段を駆け上がる。どんどんどんどん駆け上がると、千光寺。そこからは、尾道の市街、瀬戸内海、そしてしまなみ海道などなどが見張らせて、最高なんすね。丁度、朝日が昇り始める。絵のような風景。
少し降って、細い小径を駆け下っていく。車道に出てから、今一度斜面を駆け上がり、石段を駆け上がると、御袖天満宮。その急な石段をあがると、大きな門があって、更に50段ちょっと駆け上がると、天満宮。
その、最後の石段が、この写真の場所。おう。ここだ。知る人ぞ知る、石段。
「転校生」で、少年と少女が、心と身体が入れ替わってしまう場所。この石段を転がり落ちながら、入れ替わった一夫と一美。小林聡美の演技がすごかったね。
まあ、SFみたいな話やけども、基本青春もの。それが、懐かしいような寂しいような尾道の風景の中に溶け込んで、なんともいえない嬉しはずかし青い春。そしてラストシーン。回す8ミリフィルムの中で、スキップするシーンがよかった。知らん人にはなんのことやらわからんでしょうが、いいんです。大林宣彦。
まあ、観たことない方、ご興味ない方には、なんの意味もない話で恐縮です。が、とにかくこの石段が、大学生の頃の記憶を蘇らせてくれた、尾道の朝。
尾道の旧市街は、観光の町。コロナ騒動で、かなりの影響を受けてるとは思います。僕も、今朝は誰にも近づかず、どこにも触れず。
とにかく今は辛抱辛抱辛抱辛抱。
反動で、夥しい人、ビックリするような人が動き、栄え、賑わう風景を夢見て、今は辛抱しながら、考える。考える。いま、できる行動をする。こんなときだからできること。