タヌキはブームか?〔6067〕2019/11/25
2019年11月25日(月)曇り
日経MJという新聞があります。以前、日経流通新聞と言うてたやつ。流通業界のニュースを中心に構成される新聞なんですが、先週金曜日号の14面に、こんなの、ありました。最近の狸ブームについての記事。たぬき、ブームなんですかね。知ってました?
読んでみると、NHKの朝ドラ「スカーレット」で映りこむことからブレークした、みたいに書かれてます。仕事の時間柄、朝ドラを観ることないので知らんけど、そうらしい。
たぬきは他を抜くで商売の縁起物。信楽焼の愛らしい姿はあまりにも有名だけども、全国各地で、御たぬき様として祀られ、尊崇されたりしてます。
この記事によると、京都の狸谷山不動院が、たぬきマニアの間では「聖地」らしい。そんなのがあるのか。なんか、清水の舞台みたい。狸谷山不動院の縁起を読んでみると、18世紀の前半、朋厚法師というお坊さんが修験道のお寺として開いたものらしい。狸谷山修験道。その御本尊として法師みずから刻んだのが石造不動尊像で、それが平安京の東北、鬼門守護として桓武天皇が祀ったというタヌキ不動明王と同じと言われ、尊崇されるようになったとか。タヌキ不動明王。漢字で書くと「咤怒鬼不動明王」だから怖そうだけど、タヌキ不動明王と書くとどうなのかね。まあ、かまんけど。
高知でおタヌキ様と言えば、言わずと知れた大膳大明神だ。八州の観音様。観音様と共に祀られてるのが大膳大明神で、御狸様であること、以前にも書きました。
そこにタヌキが祀られたのは明和安永の頃と言うから、18世紀後半。手元の「五台山誌」によると、こう。夜な夜な、タヌキが出て里人を化かし、悪戯するというので、満慶律師というお坊さんが「福島」「竹島」「竹ノ上」という名前を与えて封じたところ、一躍有名になって、詣でる人が急増した、といいます。しかし満慶律師が亡くなると封じが解けて、また悪さするようになった、とのこと。他にも色々と伝説があるので、正確な縁起はわかりません。
昭和になって、高知の水商売関係の女性たちに尊崇されるようになり、立派な拝殿、通夜堂、そして六角堂が作られたという、大膳大明神。今もその頃の玉垣が残り、往時の賑わいをしのばせてくれる。タヌキが悪させんなったかどうかは、知らんけど。
でも、稲荷新地のみなさんによって尊崇されたおタヌキ様、というのも、面白いね。キツネとタヌキ。
そうそう。お稲荷さんは、倉稲魂命(うかのみこと)をお祀りしてて、狐は、その稲荷神の使い、という立場だ。狐をお祀りしてる訳では、ない。でも、各地の御タヌキ様は、タヌキをお祀りしてる訳で、ちょっと違うのである。知ってました?
ともあれ、タヌキで他抜きで他を抜くで、商売の神様、ということ。
さあ。月曜日。商売の競争に勝ち抜こう。でも、今の社会はそれだけではない。ウィンウィンも大切。よく考え、三方善しの思想のもと、徳をもって、高い倫理観をもって、今週の仕事を始めましょう。
咤怒鬼よりは、タヌキという感じでね。