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ひまわり文庫、2019年9月の新刊〔5983〕2019/09/02

ひまわり文庫、2019年9月の新刊

2019年9月2日(月)

月曜日。9月の仕事が始まります。

そんな訳で、ひまわり文庫9月の新刊をご紹介しましょう。夏は読書に限る、と思うけど、今月はちょっと薄めで少なめでしょうかね。まあ、こんな月も、あります。

 

まずは伊坂幸太郎。安定の伊坂幸太郎は、今月は2冊。「サブマリン」と「陽気なギャングが地球を回す」。「陽気な・・」の方は、デビュー3年目の2003年に書かれた人気作で、「サブマリン」はわりと最近の本。でもやっぱし安定してますな。どちらも、ほぼ1日で読みました。素早く読めて、読後感が爽やか。さすがの伊坂幸太郎。

 

その右。「倭の五王」は、中国の史書に登場する「讃、珍、済、興、武」を、東アジアの政治情勢全体の中で、考え、検証していく本。発掘調査や、最新の文献調査結果を踏まえ、日本書紀などに囚われない、自由な発想での研究が必要であることを提唱してます。これは、なかなか説得力のある、佳本だった。野市の金高堂さんで買いました。

 

同じ中公新書で「信長公記」は、信長の家臣であった太田牛一という人物が、江戸時代になってからではあるけど、信長のことを書き留めた日記のような本。一次資料ではないけど、その後の講談みたいに語り継がれた信長本に比すると格段に重要性が高い、本。その信長公記を読みとき、なんか定説みたいになってる信長の姿から、本当の信長の姿を浮かび上がらせてます。甫庵信長記などを元にした後世の作り話が多い信長の、本当の姿を追求していきます。これも、説得力があって、佳い本。最近は、こんな感じの良質の歴史解説本、多くて好ましいと思いました。

 

中段左端。「ストーカーとの七00日戦争」。この著者、内澤旬子さんには、以前、高知の居酒屋さんで会ったこと、あります。小豆島に移住したばかりの頃で、自分で豚を飼育して育て、それを食べるまでのレポートを本にした「飼い喰い」を紹介してもらって読み、感心したことでした。その後、丁度1年前のひまわり文庫新刊でご紹介した「センセイの書斎」も、内澤旬子さん。

でも、そんな頃、彼女はとんでもないストーカー被害にあっていたのであった。勇気をもって、そのストーカー被害状況を本にし、出版したのがこれ。すごい。人間って、すごい。しかしほんとにすごい人生を送ってられますね。いや、すごい。一緒に飲んだことあるだけに、すごさがリアル。この国の、そう行った面での法整備の遅れがよくわかる。

 

その右「私のイラストレーション史」は、南伸坊さんが、1960年から1980年頃過ごした日本のデザイン界のことを、自分の体験の中で、見事に描いてます。

すべての受験に失敗するけど、失敗したが為に出会うことになった人たちが、すごかった。和田誠、赤瀬川原平、横尾忠則、つげ義春、長井勝一などなど、綺羅星のよう。「美学校」という不思議な学校での、赤瀬川さんの講義がとんでもなく面白かった話を、具体的に描いてるけど、たしかにそんな授業を受けたら人生変わるよね、と思いました。ぜひ、この本、皆さんにも読んで欲しい。

 

その右は「日本衆愚社会」。まあ、最近よくある感じの本。

 

さて。こっからが濃い。

「1946・文學的考察」は、終戦直後、福永武彦、加藤周一、中村真一郎という若手気鋭の作家たちが、日本の文學について語った熱い熱い本。冨山房の出版リストにあったので、買いました。字が細かい。でもね。戦争直後、若い文學の担い手たちが、何を考えてたのかがわかって、勉強になりました。

 

そしてきだみのる。8月の新刊で紹介し、恩方村まで行くことになてしまったほど、興味深かったきだみのる。

嵐山光三郎さんは、若い頃、雑誌「太陽」の編集者として、当時すでに「奇人」として有名だったきだみのるの担当となり、全国を一緒に旅することになる。きだみのるとは。きだみのるはいったいどんな「奇人」だったのか。本当のきだみのるを身近で知ることになった嵐山光三郎さんの筆致は鋭い。面白いです、これ。「漂流怪人 きだみのる」ですきんね。

 

そのきだみのるが、昭和14年という国際情勢不穏な時期に、フランス領であったモロッコの奥地まで旅行した紀行文「モロッコ」。戦前はきだみのるではなくて、本名の山田吉彦。

戦後のきだみのるの片鱗はあるけど、やはり戦前は山田吉彦だ。これはこれで、貴重にして面白い記録となってます。

 

最後。

「石積の秘法とその解説」。ああ。ここまできてしまった。こないだ、徳島、眉山の緑色片岩のことをFacebookに書いたら、土木専門家の友人から、谷積とか往復積の話がでました。そこで、石積みのこと、勉強してみようと調べて見つかったのが、この本。

1958年、昭和33年に初版が出されたこの本は、代々石積み職人の大久保さんが、石積の秘法について、図入りで解説してくれてます。先祖伝来の技法や、新しく開発された技法までを網羅、惜しげも無くその極意を解説しているすごい本。勉強になりました。

「技法」ではなくて「秘法」ですきんね。題名からして魅力的。

この本を読んでl、あちこちに組まれている石積みが気になるようになりました。あ、これは並亀甲だ、だとか。専門家は、往復積みを「いってこいづみ」と読むんですね。いやホント、世の中は面白いことだらけです。

 

以上、ひまわり文庫9月の新刊でした。


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