岩原の山崩れと1,000年〔5552〕2018/06/28
2018年6月28日(木)蒸せる!
国道32号線を徳島の方へ向いて走っていると、県境の少し手前、土佐岩原に、キッチンなかとよやという洋食屋さんが、あります。以前、幾度かご紹介した、弊社の元総務部長がオーナーシェフを務める洋食屋さん。
とてもおいしいです。カツレツ定食が、僕のお薦め。ですが、他のもうまい。弊社の牛乳を使ったプリンもね、なかなかのもの。場所が場所だけに、地元の方以外はわざわざ食べに行く、ということになるけど、わざわざ食べに行く価値、あると思います。
で、そのオーナシェフの下村さん。そのお店から吉野川の橋を渡り、IR土佐岩原駅の前を通って谷筋の急坂を車で登っていった、岩原の集落に、実家があります。お父様は、地元の名士。
その岩原の下村さんは、天慶承平の乱で有名な藤原純友の一族の末裔と言います。乱に破れ、落人となって山中を逃げ、そこに住み着いたという、1000年を超える歴史の一族だ。その話は、以前、下村さんちに泊まってラフティングした時に、岩原神社の風景とともにご紹介しました。ぜひ、ご一読いただきたい。
で、その谷を挟んだ対岸斜面はゼンマイ畑。ワラビ、ゼンマイ、イタドリといった山菜が、春になると一面に生える斜面で、下村さんに誘って頂いて、山菜採りに行ったことも幾度かあります。
山菜を採ってきて、こんな感じで下村さんちで大宴会。良いところです。岩原。
今朝の高知新聞に、山菜を採りに行くときに渡る見慣れた鉄橋が載ってました。記事を読む前に、その写真が目に飛び込んで来た。記事は「山崩れ 水道管断裂」「大豊町53世帯に影響」という見出し。下村さんちの谷向こうの山の斜面が、崩れ始めたという記事。
そうそう。以前から、崩れてました。教えてもらったこと、あります。その、以前から崩れていた箇所が、再び大規模に崩れ始め、そこを通っていた水道管が断裂して断水になっている、という話。そうか。また、崩れ始めたのか。
地質的には、三波川変成帯だと思う。緑色片岩が、崩壊を招いているのでしょうか。
地滑り地帯というと、豊永から東へ入った谷あいの斜面、怒田とかを思い浮かべます。そこは、三波川変成帯の南、御荷鉾帯の緑色岩帯で、水を含みやすいので棚田地帯となる。界隈の有名な棚田地帯は、ほぼ、この御荷鉾帯にあったりするけど、水が豊富ということは地滑りしやすい、ということでもあって、大自然と人間が共存していく厳しさを教えてくれます。
岩原の山は、御荷鉾帯ではないと思う。でも、片岩が、崩れやすいんでしょうかね。
ともあれ、心配です。
水道は断水してるので、応急処置として沢水を使っている、という記事。そうそう。沢水は、豊富だしキレイ。その問題は少ないと思うけど、山体崩壊は心配。
地理院地図で見ると、その土砂崩壊の場所が、ちゃんと描かれてます。岩原神社の東向かいの斜面。
大自然と共存していく、ということは、人類にとって課題でもあり、大切なことでも、ある。
岩原で、1000年を超えて過ごしてきた人々は、その悠久の時間の中で、大自然とともに生きてきたし、これからも、自然の脅威と恵の中で、生きつづけてゆきます。