アンチアレスの風景〔5407〕2018/02/03
2018年2月3日(土)晴れ!
節分。明日が立春。もう、春か。昔の日本は太陰暦で、お月様の運行が暦の元になってたので、農作業などをするのには不便でありました。なので、太陽の運行を基準にした、十二節季などを定めて、便利に使用していたのである。なかなか、賢い。立春はもちろん十二節季のひとつ。だからその前日、節分は、太陽の運行が基準になっているので、現在の太陽暦では毎年概ね2月3日ということに、なる。ああ。もう、春か。
でも、夜明け前の空は、ずいぶん前から夏になっているのは、このにっこりでも幾度か書いてきました。夜明け前の東の空には夏の星座が煌めいている。
写真は今朝、6時頃の野市、上岡八幡宮さん。鉄棒の上にカメラを置いて、南東方向を撮影。参道入り口にクロガネモチとスギの樹のシルエット。スギの木の右手にさそり座。写真右上に明るく輝くのは木星だ。
スギの木のすぐ右。赤い星。言わずと知れたアンタレス。さそり座のα星。α星というのは、その星座で一番明るく見える星。だから、オリオン座のα星はベテルギウスだ。
僕らが子供の頃、赤色超巨星と言えばアンタレス。そしてベテルギウスだった。アンタレスがとにかく巨大で、ベテルギウスはその次、みたいな印象でしたが、実際はベテルギウスの方がデカいんですね。太陽の直径の950倍から1000倍あるのが、ベテルギウスで、600倍から800倍がアンタレス。それでも、デカい。太陽の替わりにアンタレスを置いたら、火星まで覆ってしまうほど大きいアンタレス。
でね。火星。
アンタレスの上方。サソリのハサミの部分にある赤い星。アンタレスと同じくらいの明るさで、同じような赤い色。あれが、火星。アンタレスと火星は、このように接近することがあり、しかも同じように赤いので、ライバル関係にあるんですね。
アンタレスは、アンチアレス。アレスというのはギリシャ神話で火星のこと。マルス、マーズ、アレス。全部、火星。
アンチは、アンチジャイアンツのアンチだから、アンチアレスは火星に対抗するもの、という解釈が一般的で、このにっこりでも書いてきたけど、本来のギリシャ語では、「火星に似たもの」を意味するのである、とウィキに書いてある。どっちなんでしょうね。
まあ、とにかく似ているのは間違いないし、ライバル関係に見えるのも間違いない。
アンタレスは巨大な星ですが、さそり座には、あまりに遠くて肉眼では見えんけど、さそり座AH星というアンタレスよりデカい星もあるんだそう。太陽直径の1410倍と書いてますので、アンタレスの直径の、倍。世の中、上には上があるもんです。いや、ホント。
アンタレス、日本では赤星とか呼ばれ、高知では、商売星と呼ばれたこともあります。にっこり読者はもう、ご存知ですよね。アンタレスの上と下の星が、アンタレスを挟んでへの字に並んでいる。アンタレスを支点にして、天秤棒がぶら下がるように。その天秤棒がより強くしなっているように見えるときは、お米が豊作で、米相場が下がる。しなりが弱くて直線みたいに見えると、お米が不作で、相場が上がる。土佐の商売人は、あの赤星を見て、相場を読んでいた、という伝承があるんですね。嘘かホントか知らんけど。
そうやって、宵越しの金は持たんぞ、金銭には執着せんぞ、というイメージの強い昔の土佐人も、ちゃんと商売してたんです。意外に、商売で成功した人が多い、土佐。龍馬にも商売人のセンスが見られますもんね。
火星はアレスでマルスで、軍神。戦いの神さま。アンタレスは商売の星。やはりアンタレスはアンチアレスで、戦争ではなくて、商いで、幸せになろうという星なんだと思う。
立春前の、夏空。