酒と文学展と坂東さん〔5387〕2018/01/14
2018年1月14日(日)晴れ
良い日曜日。冬の寒さと、高知の日差し。
ここは高知県立文学館。ここの館内の雰囲気、好きです。で、企画展「酒と文学展」が、今日までということで、午前中行ってきました。これは、行っとかなくっちゃ。
高知の文学者で酒と言うと、今ならやはり吉田類さんで、歴史的に見ると大町桂月を思い浮かべますよね。個人的には田中英光の破滅的な飲み方も、キライではありません。
そうそう。「さん」付けにする人は、一緒に飲んだことある人で、付いてない人は、面識がない方なので、他意はありません。はい。
でも。
僕にとって、高知の文学者とお酒、ということで言えば、この人しかありません。坂東眞砂子さん。2014年1月に亡くなられてますので、もう、あれから4年になるのか。
坂東さんほど、お酒が大好きで、お酒がよく似合う作家さんも居ない。これは、確信を持って、言える。僕に言わせると、吉田類さんとかよりも、お酒と文学者と言えば坂東眞砂子。
とにかく、お酒と、お酒を飲みながら楽しむことが大好きでした。
初めて会ったときは、とある異業種勉強会。講師が、当時、知る人ぞ知る捨て猫騒動の渦中の人であった、坂東さんでした。で、坂東さんのたっての要望で、講演会であるのに、講師も、我々も、一杯やりながら、という異例中の異例の勉強会になりました。空前絶後。
ドキドキしながら、どんな講演になるんだろうか、と思いながら始まりましたが、実に面白かった。
で、懇親会を通じて、坂東さんの考え方、想い、行動に共鳴を覚えたことを、今も思い出します。
僕が土佐の歴史とか民俗とかが好きであることもあって、いつしか、坂東さんが高知へ帰ってきたら、飲み会に呼ばれるようになりました。僕は、自称「手下」。
坂東さんは、とても料理がお上手で、鏡村の奥のどん詰まりにある建物を買い取って、そこに住み、自分で料理をつくるカフェにしたりもしました。
高知市内で飲むときは、必ず、「Y屋」さん。18:30くらいから日付が変わるまで、ひたすら飲む。食べる。喋る。議論する。その中心には必ず、坂東さん。
高知の酒飲みを、見事に体現した作家さんだった。
大豊町を題材にした「鬼神の狂乱」という本を出版された際、大豊町で、出版記念講演をすることになった坂東さん。一人で喋るのを嫌う坂東さんは、高知県立歴史民族資料館の梅野学芸員(これは、わかる)と、あろうことか私(これは、わからない)を指名して、ステージの上で鼎談をやってしまいました。ああ。そんな無謀な思い切りが、坂東さんにはありました(受ける方も受ける方だが)。
4年前、若くして亡くなられた坂東さんを偲び、今も、生前から一緒に飲んで騒いでいた面々数名と「坂東会」なる飲み会を催してます。
そのことが、「酒と文学展」の坂東さんコーナーのパネルに書いてました。パネルにある、よく一緒に飲んだTさんとは、某館のT館長だし、「坂東会」のことを紹介しているMさんは、M井さん。
酒にまつわるエッセイを書いた訳でも、酒を題材にした有名小説がある訳でもないけど、僕らにとって「酒と文学」と言えば、坂東さんを置いて他に考えられないのであります。
ともあれ「酒と文学展」は今日まで。
なかなか面白い企画展でした。