ひまわり文庫、2017年11月の新刊〔5316〕2017/11/04
2017年11月4日(土)晴れ
今朝、夜明け前の西の空には大きなお月様。良い土曜日になりました。このところ、週末と言えば台風という感じだったので、今日明日、秋の高知を楽しめそうなお天気で良かった良かった。
さて。そんな訳でひまわり文庫11月の新刊。
まずは左端。武市半平太。武市研究の第一人者、松岡司(まもる)先生がわかりやすく武市先生の実像を描写。その高潔で大きな人格に迫ります。そう。武市半平太が現代に現れるという設定の「サムライせんせい」の映画ロケが、6月末から高知で行われましたよね。その原作漫画を書いている黒江S介さんに、武市先生の実像を教授しているのが、この松岡司さん。
今年の6月末だ。高知城でブラタモリのロケをやろうとしていて、その映画のロケチームとニアミスしたことを思い出す。
その右。「敗者の古代史」。この著者、同志社大学名誉教授の森浩一さんの、日本の古代にまつわる著書は、たくさん持ってます。非常に、面白い。先生は、2013年に他界されてますが、その少し前、八十数歳で書かれたのが、この本。すごい。古代史に対する想い、情熱が、この本を読むと伝わってきます。色んな古代史本がありますが、森先生の本は必読。
次は飛ばしてその右、「悪の正体」。現代の知の巨人、佐藤優が綴る悪、そして悪魔。佐藤さんは、同志社大学神学部を出た、プロテスタントのキリスト教徒。その広汎な知識と思考力に裏打ちされた、この世の中のことを深く考えさせられる、佳本。
その右が「鉄道ゲージが変えた現代史」。鉄っちゃん本かと思えばさにあらず。鉄道が世界の歴史に及ぼした影響を細かく分析。特に、ロシア、朝鮮、中国、日本の、鉄道敷設をめぐる熾烈な戦いは、すさまじい。鉄道というのは、今考えるよりもずっと影響の大きい、重要極まりない社会インフラ、国家戦略インフラであったことが、この本でよく理解できます。
次は「時間とはなんだろう」。そう。大好きな最新物理学の本。アインシュタインが時空の概念を持ち込んでから、物体、運動、重力、時間はひとつのものの、見方に過ぎない、というような人間の直感に反するような事実が明らかになってくる。これ以上はよう説明しません。興味があったら読んでみよう!
で、物理学と言えば寺田寅彦さん。我が郷土の生んだ、これまた知の巨人。大陸移動説を日本に初めて紹介したのは寺田先生ですし、物理学者としての世の中の見方を、現代の我々に教えてくれる偉大な先人、寺田寅彦さんを、その学問のDNAを引き継ぐ高知大学の鈴木先生が、寺田寅彦の地球観を解説。
こないだ、ブラタモリでご一緒させて頂いた高知大学の橋本教授とも、この鈴木先生の話で盛り上がりました。この本は、ずっと以前に購入して家に置いてあったもの。
次。「レンズが撮らえた幕末の日本」。写真黎明期、幕末の日本。貴重な写真がたくさん残されており、この本は特に、武士の写真を中心にまとめています。宿場町の写真もあったりして、ほんの150年前の日本が、こんな姿だったのかと感動しますよ、これは。
「暗渠マニアック!」は、東京の暗渠愛好家、暗渠研究家の方が、暗渠を紹介しながらその魅力を語る本だ。僕も、高知の暗渠なら任いちょいてください。世の中には色んなヒトが、います。
最後。左から3番目。「ジャコ・パストリアスの肖像」。
いやね。ジャコが、悲惨で悲しい晩年を送ったという話は、聞いてました。その晩年にジャコの近くに居たというこのライターが、その実際を書き綴ってます。もちろんジャコの生い立ちからスターダムにのし上がり、そして転落していく軌跡も。
僕らが学生の頃の、音楽におけるヒーローだったジャコ。ウェザーリポートでの彼の演奏は、僕らの度肝を抜いた。東京での来日公演、僕は観に行った。ナイトパッセージのライブだった。
そんなスーパーヒーローが、その凄まじいップレッシャーの中で酒とドラッグに溺れ、堕ちていく。
チャーリー・パーカーや、ジミヘンと、同じ。芸術を極めた者が陥る罠に捕らわれ、そして破滅していったジャコの姿を改めて読むと、僕らのスーパーヒーローであっただけに、衝撃という簡単な言葉だけでは言い表せない感情が湧き上がります。
と、まあ、11月新刊はこんな感じでした。ちょっと少なめでしょうか。本を読み、新聞を読むという習慣は、やはり、大切にしたいと思う秋の夜長。読書の秋、真っ盛り。