ひまわり文庫、2017年7月の新刊〔5197〕2017/07/08
2017年7月8日(土)薄曇り
このところ出張が続いておりました。なので、遅くなってしまった。ひまわり文庫、7月の新刊。今日は土曜日。静かな静かな本社棟で、書類整理などに邁進してます。ああ。静かなのは、とても良いな。
7月の新刊。
左下は、季刊高知No.65。2017夏号。「心が和む、自然と癒しの宿」特集ですが、県内で泊まりにいくことがまずないので、全然知らない所が多かった。勉強になります。そしてジャイアントインタビューが、高知城歴史博物館の渡辺館長だ。僕と同世代で、とても良い方です。山内家資料に対する熱い熱い想いを語ってくれています。
右端のブルーバックス。「三つの石で地球がわかる」。僕の愛読書「山はどうしてできるのか」「海はどうしてできたのか」の著者が、地球を構成する岩石のことをわかりやすく解説してくれてます。地学マニア必読だね。
その隣が「集合とはなにか」。1976年、数学者の竹内外史さんが書いた「集合」の解説書。2001年に復刊され、今も人気を誇る佳書だ。正直に申しましょう。まだ、途中までしか読んでません。なかなか、時間がかかります、これは。いつか、頑張って読破しようとは思ってます、はい。
その左は「王書」。11世紀初めに書かれた、ペルシャ民族高揚の叙事詩。アラブ世界の台頭に対抗する為に書かれた書で、出口治明先生推薦。日本で言えば、古事記と平家物語を合わせたような本、と、出口先生が紹介してます。面白い。痛快丸かじりのスペクタクルが展開しますよ、これ。
次も、出口先生お勧めの本「脳には妙なクセがある」。最新の脳科学の成果をもとに、我々の行動を脳のクセで説明していきます。
実はもう一冊、脳関係の本が7月の新刊にあるのですが、今、人に貸してます。「奇跡の脳」。これはすごい。脳科学者であるジル・ボルト・テイラーという女性が、ある日、脳卒中になる。自分の脳科学者としての知識を総動員しながら、壊れていく脳を冷静に観察。そして回復していく過程で、脳のどこがどんな役割を担い、破壊された部分が修復され、別の場所が機能を代行していく、という事実を実体験の中で観察し、書いたのが「奇跡の脳」。絶対に読むことをお勧めします。
お気軽万城目学ワールド、今月は「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」。直木賞候補にもなったこの本。いつもながら、本当に万城目学は面白い。こんな文章を書けるようになりたい、と、思ってしまいます。
「ウニはすごい バッタもすごい」。さっきの脳の話もそうですが、生き物というのは、とにかくすごいという話。その機能性は、想像を絶するものがあり、デザインにもそれぞれ理由がある。どんな生物も、とんでもなく優れたデザインと機能を備えているのだ、ということをわかりやすく解説。
この著者、本川達雄さんという人物、面白いです。それはね、読んでいただくとわかります、はい。少し変わった、面白い人物です。読むと、わかります。
で、「謀反の児」。
戦前、大陸浪人の代名詞みたいに言われた宮崎滔天の生涯を、今までにないような切り口で語り尽くした本。宮崎滔天と言えば、孫文の辛亥革命を手助けしたことで有名だが、その人生は凄まじい。やはり「純粋極まりない傑物」ということは言えると思う。当時の、独善的な思想や政治家とは一線を画す、宮崎滔天は面白い。
この本を読むと、戦前の思想史は、国粋主義や自由民権運動、国家主義と民権、民主主義が複雑に絡み合っていたことがよくわかる。右翼と左翼という分類が、まったく意味を成さない時代。そういう思想史の文脈を知らないと、現代を見誤るのかも知れません。この本は、今月一番の、お勧め。
今月もなかなかに濃いラインナップになってしまいました。暑いと、読書するのもしんどくなり勝ち。そんな夏にこそ、自分を律して仕事に邁進し、読書体験も深めていきたいと思う夏の朝。