偉大なるキノコ〔4902〕2016/09/16
2016年9月16日(金)曇り
台風16号、気になります。来週の頭くらいにはやって来そう。もう、台風は要らん要らん。要りません。
さて9月。秋雨前線が活発になり、土が湿ってくる頃、山にはキノコが増えてきます。もちろん素人なので、キノコ狩りをして食べたりすることは叶いませんが、山でキノコを見るのは、好き。
写真は今朝、4時半頃の潮江天満宮。本殿の裏手、大山祇神社が鎮座まします小山に、今年もキノコが見え始めました。ここでは色んな種類のキノコを見ることができまして、昔から、幾度かご紹介してきました。
多いのは、この手の白いキノコ。以前、ドクツルタケではないか、と書いたことがありますが、真相は不明。まあ、食べるがはやめちょいた方が良いにかありません。
キノコ。
普通、この、地上に傘をさして出てくるのがキノコ、と思いますが、これはキノコの子実体。繁殖のための姿だ。で、キノコとは、この子実体をつくる微生物の総称であり、地中や倒木に張り巡らされた菌糸。あの菌糸が、キノコそのもの、という訳です。
キノコが地球上に出現したのは、今から4億年くらい前と言われてます。その頃の地球は、現在よりも二酸化炭素濃度が10倍位以上も高く、気温も高かった。そして、巨大な木質シダの森が形成されていく。根っこが短い巨大なシダは倒れ、堆積し、泥炭度となっていった。そうして二酸化炭素が地中に固定化されていき、根っこから酸性物質が放出されると、今度は酸素濃度が高くなり、気温が下がる。3億年前には、地球は寒冷化し、酸素濃度は現在の2倍近くにまで上昇。
体長2mのムカデとかが出現したのは、この、酸素濃度が高かった時代ですな。
で、二酸化炭素を地中に固定したのはシダだけではありません。裸子植物。樹木ですな。この植物は、太陽光取得競争に勝ち残るために構造が頑丈になっていき、遂にリグニンという木質成分を身にまとうことになる。
これは、頑丈で固く、害虫にも強い。そんな訳で、リグニンで武装した裸子植物が栄え、倒木し、地中に埋まる。
リグニン、それまでの地球上の微生物では分解できませんでした。構造が複雑で。分解できないと、そのまま、土中に埋まっていく。二酸化炭素を含んだままで。
そんなこんなで、二酸化炭素濃度が低く、酸素濃度が極めて高い「石炭紀」が長く続くことになりました。リグニンを分解する微生物が出現しなければ、地球は、今とは全然違うものになっちょったことは想像できますよね。どんな世界かは想像できませんが。
しかし、その環境を激変させる生物が現れました。進化した、キノコ。キノコの中でも、白色腐朽菌と呼ばれるグループが、突如、出現したのでありますね。2億5千万年前のこと。この白色腐朽菌は、菌糸から特殊な酵素を放出してリグニンを分解する能力を持っておりました。彼らの出現で、地球は再び二酸化炭素濃度を上昇させ、気温も上がってきたのでありました。
椎茸やマイタケ、えのきなどが、このグループ。美味しいのばかりではないか。我々の食卓を豊かにしてくれるだけでなく、彼らは、歯止めがかからない酸素濃度増加と寒冷化から、地球を救うてくれた偉大な生物であったのか。
地球環境は、地学的な要因だけでなく、こうして生物学的な要因でも、劇的に変化してきました。現在は、ヒトという生物が要因で、劇邸な変化がおきようとしている時代かも知れません。