仙台港の朝〔4714〕2016/03/12
2016年3月12日(土)晴れ
今朝は仙台。昨日の昼、東京から新幹線でやって来ました。経済同友会主催の、震災追悼シンポジウム参加のため。
経済同友会は、あの大震災の後、IPPO IPPO NIPPONというプロジェクトを始めました。経済界として、この震災になにができるのか。
様々な意見が出て、検討に検討を重ねた結果、全国の同友会や会員企業に募金を呼びかけ、その資金を、被災地の実業高校の実習設備などの購入資金に充ててもらおう、ということになったそうです。その取り組みがIPPO IPPO NIPPON。5年間つづけてきた、IPPO IPPO NIPPON。
東北の太平洋沿岸には、水産系や農業系、工業系の特徴ある実業高校がたくさんあります。校舎全体が全壊した高校や、実習設備が流されてしまった高校も、たくさん。そういった設備など、自治体にお願いしても時間がかかる。その間の教育はどうするんだ。と、言うわけで、迅速な対応を経済同友会がやろう、となった訳です。
今年で5年。
そのプロジェクトにより、被災地の高校生たちが、何をできるようになり、何を成し遂げてきたか。そんな発表を見ることができました。そして、復興に向かって何をしなければならないのかを考えるシンポジウム。
そして。
プロジェクトで設備などを利用することになった高校が、感謝の気持ちを込めて、様々な伝統芸能の発表をしてくれました。和太鼓や虎舞など。そして、ひときわ印象的であったのが、福島県唯一の水産高校、福島県立いわき海星高校の「じゃんがら念仏踊り」。
いわき地方に伝わる踊り念仏で、初盆などに、供養のために鉦と太鼓で拍子を取りながら、踊り、念仏を唱える。そのじゃんがら念仏を伝承する部活動が、いわき海星高校にあるんですね。
地元いわきでは、昨日の3.11に合わせて、各所で供養のじゃんがら念仏が行なわれているでしょう。高校生たちの、真面目な、踊り念仏を見ているうちに、涙が止まらなくなりました。
今朝は、仙台港まで走ってみました。仙台駅〜仙台港〜多賀城駅16kmラン。
仙台港も、もちろん津波によって大きな被害を受け、南側海沿いの集落はすべて流されてしまいました。
震災後の2011年7月13日に、仙台港近くで地震に遭い、建物の非常階段に上がりながら足元を洗う津波の様子をスマホで撮影した友人に、近在をご案内してもらいました。あれから5年。
仙台港周辺は、すっかり変わってしまいました。あの日、案内して貰うた仙台港とは、まったく違う風景。ニトリやケーズデンキや大型アウトレットショップなどが並び、大きな観覧車も。写真は、今朝の平和な仙台港。あの風景が嘘のような、静かな平和な仙台港。
しかし、同じ宮城でも、三陸方面などでは、まだまだ遠い復興への道のりを歩んでいます。
そして。福島は、また、全然違う状況が続く。昨日のシンポジウムでも話になりましたが、福島は、大きな課題を抱えたまま。まだまだ将来が見えない中、地元の懸命の努力が続く。
そんな福島県の水産高校、いわき海星高校の子供達が、必死に、まじめに取り組むじゃんがら念仏は、本当に胸を打ちました。
遠く離れていると、被災地のことも、全然わからない。行ってみると、それぞれが、ぞれぞれの課題を抱えて懸命に頑張っている。
これからも、現地に寄り添って考え、行動していくことの重要さ。