金木犀とネアンデルタール人〔4570〕2015/10/20
2015年10月20日(火)晴れ
今日も秋晴れ。空気が澄んで、心地よい朝。
会社の、本社屋の前には金木犀。キンモクセイ。この金木犀、小生の、秦泉寺の実家にあったものを移植してきたものなんですね。今は駐車場になっちゅう場所に家が建っちょった頃、道路に面した塀の内側にありました。その家で過ごしたのは、小生、中学生の時分。その頃も、秋になると素敵な香りで楽しませてくれました。あの同じ金木犀が、40年経った今も、違う場所で同じ香りを放ち、楽しませてくれゆう、というのは、不思議な感じがします。どれっぱあの寿命があるのか知りませんが、強い樹だ。
調べてみますれば中国原産。江戸時代初期に渡来、とありますが、花の匂いを楽しむために導入したのでありましょう。
金木犀は雌雄異株で、日本には雄株しかないんだそうだ。なるほど。雄株の方が、種子を作る負担がない等の理由で、たくさんの花をつけるそう。で、香りも雄株の方が、強い。なので、雄株だけ持ってきたがにかありません。
雄株しかないので、実はつけない。挿し木繁殖で、簡単に増やせるので、雄株だけでも問題なく、日本中に広がったものと思われます。
雄しか居なくて、繁殖することはない、というのは、金木犀にとってどうなんでしょうかね。どんな気持ちなんでありましょうか。
樹皮が硬くて犀の皮膚みたいだ、ということで、木犀。日本という国は、観賞用に植物を導入したり品種改良したりして楽しんできた歴史を持ちます。「花を愛でる」というのは、世界中で行われていること。クロマニョン人の昔から。日本でも太古の昔から花を愛でてきちょりますが、日本では「匂いを楽しむ」というのも昔から盛ん。これ、世界的に見ても、その繊細さで言えば、かなり特異なんではないか、とも思われます。「香道」などというものがあるくらいですきんね。
香りの種類とか、香りの表現にも様々あって、梅と言えば「馥郁たる」香り。金木犀は、馥郁ところか、かなり強めの香りなので、繊細ではないですな。
上に、なんとなく気分で「クロマニョン人」などと書いてしまいましたが、花と言えば、ネアンデルタール人。イラクのシャニダール洞窟で発掘された埋葬跡に、花粉がたくさん集中して出てきた場所がありました。なので、ネアンデルタール人は、埋葬時に花を供える風習があったのではないか、などと言われたりします。すごいではないか。
異論もあって、それは薬草として利用していたのではないか、という説も。それもそれですごいではないか。
ネアンデルタール人は、20万年前から2万数千年前まで地球上、特にヨーロッパ界隈に存在した人類。我々ホモサピエンスとは、近いが、違う系統。
しかし、我々ホモサピエンスがアフリカを出発して世界中に広がる際、ネアンデルタール人と交配していた、というゲノム解析の研究もあります。で、アフリカ以外の現代人の遺伝子には、ネアンデルタール人の遺伝子が数パーセント含まれている、とのこと。こないだ、そのことを書いた本を読みました。
我々が金木犀を楽しむ遺伝子が、ネアンデルタール人に由来しちゅう、みたいな妄想は、ちょっと、楽しい。