梼原町と日本の将来〔4453〕2015/06/25
2015年6月25日(木)曇っちょります
昨日の西高校での授業、45分×3で、なかなか充実しておりました。与えられたテーマが「食と健康」でございまして、いつもの流通や商品開発、マーケティングの話ではないので、どうやったでしょうか。汗、かきました。
で、昨日も書いたように、西高校のスーパーグローバルハイスクール認定のテーマは「食を活かした地域創生」。なので、3時限目は、主にそんなテーマを語ってしまいました。高校一年生に、かなり重たいテーマではありましたが(笑)。
で、しゃべったのが、地方消滅は地方だけの問題ではなく、日本という国が成り立っていくかどうか、という重要な問題である、ということと、食、一次産業という視点で、地方に人が増えるにはどうしていったら良いのか考えて欲しい、という内容。これは宿題にもしました。いや〜、こんなテーマで若者たちがどんなことを考えるのか、楽しみ楽しみ。
実は、来月、某経済団体の西日本代表者会議がありまして、そこで、
定住人口の維持・拡大
~定住人口の維持・拡大に向け、地方における安定した雇用を創出するために何をすべきか?~
というテーマで発言することになってしまいました。そこで喋ろうと思うちゅう内容を、ここに転載しますね。ちくと長くてくどいので、ご興味のある方だけ、ここから先にお進みください!
お急ぎの方は、すっ飛ばかしてください(笑)
(以下転載)
増田レポートが衝撃を与え、地方消滅、という言葉が流布し始めた。しかし、この問題の本質、重要性を本当に理解してる人間がどれだけいるだろうか。地方が消滅すれば、日本という国家が成り立たなくなる、という危機であるのに。
大都市圏と地方都市、地方都市と中山間の、出生率を社会学的に見れば、その格差は明らかで、子育て支援策をどれだけやっても埋めることのできない溝がある。日本が大都市圏ばかりになってしまえば、早晩迎える人口減少社会に歯止めがかかることはなく、日本という国が成り立たなくなる。
また、日本という国は、豊かな自然と快適な環境がもたらす恵みを享受してきた。その恵みは、中山間を中心とする「地方」という受け皿があって、初めて享受できてきたものである。その恵みがあってこそ、国土は安全に豊かに保たれ、製造業等を中心とした経済発展を支えてきた、という事実を忘れてはならない。
中山間の消滅とは、国の衰退を招くものである、という認識を、国民全体で共有する必要がある。
地方創生の議論の中で、ある程度の規模の地方都市に資源を集中し、活性化を図る、といった意見がある。これは、地方に住む我々の感覚で言えば、単なる時間稼ぎにしか見えない。地方衰退の根本原因が取り除かれているとは思えないから。ミニ東京をいくつ作っても、地方衰退の流れを止めることはできない。今までの延長戦上では、絶対に無理であることは、自明である。
高知県では、移住促進に向けた取り組みを、政策の大きな柱としている。土佐経済同友会の提言も踏まえ、GKH、即ち「県民総幸福度」の向上を図り、高知で暮らすことが「幸福」である、という事実を積み上げて、CCRCの検討も含めて取り組んでいる。何より大切なことは、「幸せ」を感じること。
そこで重要なことは、幸せを実感できる雇用の創出であることは言うまでもない。高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略には、「地産外商により、安定した雇用を創出する」という基本目標が掲げられた。農林水産業を最重要産業と位置づけ、産学官民が協働して一次産品のブラッシュアップを進め始めている。一次産業が成り立たなければ地方が成り立つ筈がない。
一次産業を中心とした幸せな暮らしが実現して日本の中山間が元気を取り戻し、そこでの幸せを求めて人々が居住を始める社会。これが、今後、末長く日本の国を繁栄させる唯一の道である、と考える。
新幹線や高速道路などの交通インフラは、確かに重要である。しかし。それができたからと言って、地方の人口が増える訳ではない。
絶対に、ない。
これからの取り組みとして、今までなかった、地方や中山間で暮らすことが幸せになる、という視点を加えることが、必要不可欠である。
(以上転載)
こんなことを考えよったら、今朝の高知新聞。
この写真の記事。梼原町では、なんと、人口が昨年同時期に比して1名減にとどまった、という記事。すごい。
1958年に11,200人であった人口が、1990年に5,000人を割り、2010年には4,000人を割った梼原町。しかし、種々の方策の成果で減少スピードが鈍化し、ついに前年を維持。
移住者支援では、空き家を町が無償で借り受けてリフォームし、移住者に貸し出したりりよります。また、保育園幼稚園の保育料、授業料、給食費の無料化、中学卒業までの医療費無料化、海外留学支援などなどを展開。なにより、梼原で暮らすことの魅力を発信してきた成果やと思われます。
町長が掲げるキーワードは「健康、教育、環境」。それだ。
梼原高校への新入生が、昨年より20名多い56名。
中山間では、子供の数が減り、小学校がなくなり、中学校が統合され、そして高校も存立できずに廃校となっていく。
そうなると、高校に上がるタイミングで、その子供や親はその地を離れていってしまう。益々若者が減り、学校が成り立たなくなていく、集落が滅亡していく、という悪循環。負のスパイラル。
どうしても、子供を増やさなくては!
そんな中での梼原高校への進学希望者増は、嬉しいですね〜
世の中の潮目は、変わってきたのかも知れない。
日本という国を将来も成り立たせていく方法の答えが、ここにあるのかも知れない。人口問題を考えると、大都市より地方都市、地方都市より中山間の方が、圧倒的に出生率が高くなる。と、言うことは、大都市での出生率対策をしたり、また今までの延長線上で交通インフラ整備をしたりする資源を、地方や中山間で暮らすことの幸せ感を増やす方向に振り向けると、人口問題が解決に向かうのではないか。
そんな楽しい妄想を暴走させてくれた、今朝のこの記事でした。