帰ってこないぜ2〔4221〕2014/11/05
2014年11月5日(水)晴れ!
良いお天気。
昨日の高知新聞に、南国市里改田へ今年もナベヅルが5羽飛来した、という話題が載っちょりました。ナベヅル。そうか、ナベヅルやったがか。
今年5月21日のにっこりで、里改田の水路に架かる橋に掲げられた「田をよごすと帰ってこないぜ」という看板をご紹介しました。あの絵、よく見ると自動車を鳥が運転しよります。そうか。あれはナベヅルやったのか、と、迂闊にも昨日、気が付いたのでありますね。小林旭のような台詞をしゃべっているのはナベヅル。田んぼを汚したら、もう、飛来せんぞね、ということを、小林旭風に表現しちゅう訳ですな。
で、今朝、観に行ってきました。里改田。ナベヅルは、シベリアで繁殖して飛来し、鹿児島県の出水平野で越冬するがにかありません。その途中、ここへ立ち寄るがが毎年のことになっちゅうようです。今年はまだ5羽、確認されただけにかありませんが、これから、もっともっと見かける機会が増えるだろうとのこと。もちろん今朝は見ることはできませんでしたが、楽しみですね〜。
里改田から東側は、かつて、湿地帯でした。前浜の切戸のところが物部川の河口で、そこから砂丘の北側に広がっていたラグーン。そんな風景は、中世まで続いたと思われます。
里改田にナベヅルが飛来し、立ち寄っていくのは、そんな風景の名残かも知れません。湿地帯に飛来していたナベヅル。湿地帯が田んぼになっても、継続して飛来し、今に至っているのではないか。そんなことを妄想しました。
この右手の方が里改田。その田んぼの中に蚊居田城の城跡、城八幡がございます。戦国期、蚊居田氏という有力な豪族が本拠とした城。別名沢城。その名前からもわかるように、湿地の中に浮かび上がるような城やったかも知れません。
湿地は、意外に防御に優れている、とされます。足元が悪いので、ナカナカ攻めきれない。秀吉の高松城水攻めが思い出されますな。
ここの蚊居田氏は、戦国後期になると長宗我部氏と姻戚関係を結びました。お隣の豪族、千屋氏は、かなり遅くまで抵抗したにかありませんが。
で、蚊居田修理さんが長宗我部氏の重臣となり、浦戸の奉行をつとめた、とありますき、なかなか活躍しちょります。
そんな蚊居田氏の本拠地、沢城。
蚊居田氏が居城を構えて盤踞した時代にも、周辺の湿地帯にはナベヅルが飛来しよったでしょうか。蚊居田氏の支配地の農民たちも、この季節、毎年やってくるナベヅルを楽しみにしちょったでしょうか。
湿地帯が田んぼに変わっても、変わらず飛来してくれるナベヅルたち。ここが美しい田んぼであり続ける限り、そして出水平野の環境が保たれている限り、これからもやって来てくれることでしょう。
渡り鳥が残していく糞は、将来、農業にとって貴重な貴重なリンの原料になる、とも言われております。鉱物資源としてのリンの枯渇は、人類にとっての大きな脅威とも言われていますので、渡り鳥はとてもとても貴重かも知れません。人類は、大自然によって生かして頂いております。