夏空の商人星〔3971〕2014/02/28
2014年2月28日(金)晴れ!
なんという気温でしょうか。PM2.5が、なんとなく春霞みたいに見えて、春の風情になってきました。PM2.5は嫌ですけんど。昨日の午前中、かなりガイに降った雨もあがり、どんどんと気温は上昇、20℃を超えたがやないでしょうか。今朝もぬくいので、今日も20℃超えるかも知れません。
そりゃあそう。夜明け前の南東の空を見ると、このようにさそり座。もうちょっと左手には夏の大三角形である、デネブ、ベガ、アルタイルも見えます。空は夏。
さそり座の真ん中、杉の木の影のちょっと右手に赤星。さそり座のα星、アンタレス。赤い星が、夏を感じさせてくれます。
昨日、田野、奈半利、羽根出身の大商人の話を書きました。何故か、高知では、東部から大商人が出現する傾向があるにかあらん、という話。岩崎弥太郎も安芸ですき、やっぱし東部。近代になって頭角を現し、大活躍した商人は、東部出身者が多いのは間違いないようです。その風土が、商人を生み出すのでありましょうか。
商人と言えば、商人星(あきんどぼし)。ご存知でしたでしょうか、商人星。
この写真の赤星、アンタレスをご覧下さい。アンタレスの右上と左下に、等間隔離れて星が見えます。アンタレスを頂点にして、傘のかたちに。この3つの星を合わせて商人星と呼ぶのであります。なんとなく、ヒトが天秤棒を担いちゅうみたいなイメージでしょうか。
アンタレスを支点にして、天秤棒が左右に伸び、荷物の重みでちょっと垂れ下がっちゅう感じ。なるほど。で、あの3つの星を商人星と呼ぶのは、高知の他、愛媛とか岡山とか広島とかにかありません。静岡や千葉でも報告されちゅうそうです。
興味深いのは、その意味。あの3つの星を天秤棒に見立てて、右上の方が垂れ下がって見えた年は、米の値段が安い、と見るそうです。
昨日ご紹介した中で、田野出身の西山亀七さんは、米の商売で大成功した人物。米相場を見るに長けておりました。亀七さん、あの星を見て、参考にしたでしょうか、しなかったでしょうか。もっと合理的で論理的な市場眼によって、相場を考えよったがやないかとも思われます。土佐では、アンタレスを支点にした天秤棒で米相場を占いよったとは知りませんでした。
また、商い星と呼ぶ地域もあり、アンタレスが赤いのは、荷が重くて棒がしなり、顔が真っ赤になっちゅうき、という話もあるようです。
ちなみに、あの3つの星、籠担ぎ星とかお籠星とか呼ぶ地域もあります。これは、お百姓さんが農作物を籠に入れ、天秤棒で担いじゅう姿に見立てちゅう訳です。ですきに、左右の星が垂れ下がっちゅうように見えるほど、その年は豊作である、という訳ですな。
空の星。
世界中で、星や、星と星の組み合わせに意味を持たせ、眺めてきた歴史があります。日本各地で、あの、変哲もないような3つの星に商売繁盛や豊作の思いを込め、眺めてきた歴史があるというのは、なかなか興味深い話。
そんなことを、夜明け前の野市、上岡八幡宮さんの参道で考えました。
夏空がひろがる野市の朝。