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夜明け前、出町柳、高野川〔3857〕2013/11/06

夜明け前、出町柳、高野川

2013年11月6日(水)晴れちゅうのかな?

ここは京都。朝5時半。叡山電車の出町柳駅前。昨日、滋賀方面出張で、京都に泊まり、朝の仕事に間に合うように高知へ帰りゆうところ。早朝の京都は、結構寒うおます。
出町柳の駅の西側には高野川。このしゅっと南で賀茂川と合流して鴨川になる高野川。橋の向こうの森は、下鴨神社の糺の森とつながる、幽玄なる森。京都には、そんな古い森がたくさんあります。

こないだうち、東京、江戸は、世界でも珍しい思想によってつくられた都市である、てなことを書きました。江戸。あれほどの大都会で、信じられないような夥しい緑が配されちゅうのは、例がないそうです。幕末に江戸を訪れた多くの外国人は、その緑に圧倒され、その文明と自然とが綯い交ぜになった姿に驚いたとされます。
江戸は、徳川幕府によってつくられた都市。

言うまでもなく、ここ京都は、鳴くよ鶯ですきに794年に遷都され、中国に習うて碁盤の眼に構築された都市。これが大きな違い。
京都は、周囲を山々が囲み、敢えて都市の中に緑を配する必要もないくらい、自然と調和した都市ですね。中国を範としたと申しましても、やはり、自然を美しく取り込んだ街は、日本独特のものかも知れません。

川向こうの森を北へいくと糺の森、そして下鴨神社。正式には賀茂御祖神社。かもみおやじんじゃ。御祭神は玉依姫命さんと賀茂建角身命さん。言わずと知れた賀茂氏の氏神様。

ややこしいのでありますが、賀茂氏には、いくつかの系統があります。ここ、京都の賀茂氏は、秦氏との関係が深い天神系。で、八咫烏で有名なのは、この系列。賀茂建角身命さんは、天神系。
で、土佐神社を祀った賀茂氏は、地祇系と呼ばれ、大和の三輪氏、つまり大物主からつながる系列。で、御祭神は味鋤高彦根神や一言主神。大和の高鴨神社と同じ。ですきに、土佐に勢力を持った賀茂氏は、この京都の賀茂氏とは、系列が違う、ということになり、御祭神も全然違う訳です。ああ、ややこしい。

となると、鴨長明とか賀茂真淵とかは、どの系列か。
それは、ここ、京都の賀茂氏ながやそうです。この下鴨神社の家に生まれたのが鴨長明さんで、上賀茂神社に生まれたのが賀茂真淵さん。なるほど。そうやったのか。

鴨長明さんと言えば方丈記。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」という書き出しはあまりにも有名で、その、移りゆくもののはかなさをとらえた思想は、仏教の匂いの濃いもの。そう。鴨長明さんは出家しちょります。ん?
下鴨神社に生まれ、出家。調べてみますれば、河合社(ただすのやしろ)、つまりこの写真の北側に鎮座まします、糺の森の神社の禰宜になりたかったのが、それが叶わず。で、その後出家した、とあります。
神主さんになれなかったので、出家した。

明治維新の後、神道と仏教の分離が行われ、我々の感覚としては違和感のあるようなことが、極めて普通に、違和感無く行われておりました。
この宗教観が、幕末に日本を訪れた外国人には理解できんかったようですが、日本人にとっては、まったく合理的で、整合性のある、在り方であった時代。

眼下の高野川は、古代と同じ場所を、今朝も流れておりました。鴨長明さんが喝破したように、悠久の時代を超えて流れゆくこの川の水は、常に変化してとどまることはない。しかし変化しながら絶えることはないのであります。
そんなたわいもないことを考えてしまう、京都の夜明け前。


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