相撲殺人事件〔3235〕2012/02/23
2012年2月23日(木)雨
今朝も雨。しっかりした雨脚。こんな雨が降ると、もう、春近し。
昨日のにっこりで、久々に真覚寺日記をご紹介しました。安政南海地震の津波で甚大な被害を被った宇佐の様子が描かれちょります。津波から11ヶ月程度が経過した安政2年(1855年)の秋。昨日も書きましたように、相撲の記事が結構目につきます。
ここは今朝の野市、上岡八幡宮。鳥居をくぐり、参道を進むと、左手に土俵の跡が。キチンと盛り上げてしつらえられた土俵ですけんど、最近使われた形跡はありません。神社が地域コミュニティの中心やった時代、そこで開催される相撲は最大の娯楽やった訳です。真覚寺日記から、安政2年秋頃の相撲の記事を拾うと。
安政2年9月29日 晴れ
朝、西分のお経の会へ行った。こじゃんとぬくうて、三月頃みたいな陽気ぢゃった。午後三時ばあに小揺れ。帰りがけに弘岡へ寄り、中島の渡しを渡って用石を通ってモンてきた。今日は用石の神祭で、相撲をやりよった。後略
昨日、10月28日の、高知上町川原の相撲の記事を書きましたがその翌々日。
安政2年11月1日 曇り
朝の八時ばあに小雨が降る。10時ばあから晴れる。今日、福島で相撲の地取りがあった。夜中の二時ばあに小揺れ。明け方、また揺れ。中の小。
震災から丁度一年の11月5日にも相撲をやったことが描かれちょりますが。これは、次回ご紹介します。で、高知の鏡川の川原では、当時、ビッシリ相撲をやりゆうのでそれを現代土佐弁にすると、
安政2年11月7日 薄曇り
上町川原で相撲があった。10時ばあから雨が降り始め、相撲は途中で中止。お昼頃に江口へ寄り、横町へ行った。今夜、小高坂浅見御法座へ行き、夜11時くらいに終わって、横町へモンて泊まった。後略
安政2年11月9日 晴れ
今日、また、上町川原でこないだ延期になっちょった相撲があった。午後二時ばあに横町へ行く。同時に中の大の揺れ。今夜、小高坂森ノ下へまた御法座があって行っちょった。永福寺の養子さんが来ちょった。参詣人は40人ばあ。9時過ぎに横町へモンて泊まった。
安政2年11月10日 晴れ
朝の九時ばあに升形へ寄り、お昼過ぎに帰る。今日、下町川原で火鎮祭の相撲があった。夕方お寺へ帰った。夕方六時ばあに小揺れ。曇る。
このように、次から次へと相撲が開催されゆう様子が日記にでてきます。この日記を書いた静照和尚さんも、どうやら相撲が好きやったがにかありません。
相撲に熱心になる余り、殺人事件も発生しちょります。
安政2年11月8日 晴れ
昨夜、小高坂で人殺しがあった。一人は即死、二人は重傷。犯人は、能茶山で捕まって、しゅっと牢に入れられた。喧嘩の原因は相撲の話やったそうぢゃ。双方とも、悪縁の為すところで、ホントに不憫である、後略
まあ、これだけ相撲熱が盛り上がっちょった、という訳です。
この鳥居は嘉永4年、両脇の狛犬は万延元年、参道突き当たりの石段は、昨日ご紹介したように文化14年。その年にも盛んにこの境内で行われたであろう相撲を、この鳥居も狛犬も石段も、見つめてきたのでありましょう。