昨日で10ヶ月〔3193〕2012/01/12
2012年1月12日(木)晴れ
今日は高知。昨日で、あの大震災から10ヶ月でした。今朝は、静かに美しい南国市の久枝海岸。黄金色の朝日が昇り、海からは水蒸気が沸き上がって、冬の海らしい風景。いつものように、宇佐、真覚寺住職の静照さんが、安政南海地震津波から後を克明に記録していった日記、真覚寺日記からご紹介しましょう。
震災から丁度10ヶ月目の日記です。
安政2年9月5日 晴れ
朝9時ばあに小揺れ。樽屋さんを雇うて、樽の輪っかを交換してもろうた。ついでのモチに、日雇いさんを雇うて、風呂釜の下を塗り替えた。午後3時ばあに小揺れ。その頃、光寿寺さんが来てしゅっと帰った。真夜中に中揺れ。井戸の水が濁ったと言うて、津波がくるがを恐れ、騒ぐ者がおったそうぢゃ。
10ヶ月目にして、まだ続く余震や、津波への怯えが続きゆうことがよくわかります。このちょっと手前、8月30日の日記に興味深い記事がありますね。
8月30日 晴れ
お昼前小揺れ。夕方、また、小揺れ。今日、法要で、西浜から東町へ行った。このごろ、西浜から福島界隈で、ネズミに噛まれるモンがいっぱい居る。中には、噛まれて即死するモンも居れば、城下の医者へ走るモンも居る。これもまた奇事ぢゃ。去年以来、宇佐も家が少のうなり、家があっても以前よりは狭小やき、ネズミが住む場所が少のうなって、一目につくところへ出て来たがぢゃおか。ヒトに喰いついてくるがは、彼らも、食べ物が少ないきにかあらん。また、猫も少ないき、という説もあって、まこと、それも一理ある。
夜中に本堂へネズミ2匹出没。仏具を噛んで痛めたき、隣家へ猫を借りに行ったけんど、全部出払うちょって居らず。しかたないき、本堂の戸障子を隙間ないように立て詰めちょいて追い出す。その外側で、ようやっと2匹仕留めた。殺生は坊さんの所行ではないけんど、仏敵であるので、仏に代わってコレを誅戮したがよよ。
まこと、今夜になって、ネズミがこじゃんと増えちゅうというヒトの噂が嘘ぢゃあなかったことがようわかった。夕方、小揺れ。
そう。震災の影響か、ネズミは増えて、仏に成り代わって退治した、という話。環境が激変することで、色んな想定外が現出してきます。
被災地でも10ヶ月が経過しました。まだまだこれから、色んなことがあろうかと思います。我々も、風化させず、ちょっとづつ、つづけて、つづけて。