須藤靖先生と全卓樹先生と、宇宙〔8265〕2025/12/01
2025年12月1日(月)晴れ!
今日から12月。物部川の向こうの朝焼けが見事な朝。さあ、仕事を始めよう!
今朝の高知新聞。こないだもご紹介した尾池和夫先生と並ぶ母校の偉大なる先輩、須藤靖先生の記事が載ってました。元東京大学教授で、現在高知工科大学特任教授を務めておられる、理論宇宙物理学者。須藤先生は、マックス・テグマーク博士とかが提唱されているレベル4マルチバースとかまで行ってしまう、素人目にはなかなか過激に見える宇宙論を展開されてます。
僕らが知る138億光年先までの宇宙が無数、物理法則が適用されている宇宙が無数存在する「宇宙」をレベル1マルチバースと呼び、それだけでも訳わからんのに、レベル1をすべて包摂するその外側のレベル2、レベル3、レベル4までの宇宙の存在が提唱されている訳で、ここまでいくと、もう、哲学だよね。当然、あまりにも発想が突拍子もないので、一部では異端視されたりする訳やけど、こういう理論提唱者の一人に母校の大先輩が居るってのは、ちょっと誇らしかったりします。
僕は、須藤靖先生と高知工科大学のご縁を繋いだのは、全卓樹先生ではないかと思っています。全先生の本に初めて接したのは、東京の八重津ブックセンター。偶然手に取ると、なんと高知工科大学の教授ではないか。そんな訳で「銀河の片隅で科学夜話」というとても面白いエッセイ集を読んだ訳やけど、その本があまりに評判となったので、続編の「渡り鳥たちが語る科学夜話」が出版されたのが2023年2月のこと。その本の中に、須藤靖先生の講義の話が出てきました。この、「革命家のマルチバース」というコラム。
高知工科大学で開催された「理工学のフロンティア」というセミナーで須藤先生が講義された内容と、そのの時の雰囲気を紹介したコラム。まず、その際に発表された概要がすごい。
須藤靖先生講演会「マルチバース的世界観」
概要:科学では、どれほど優れた理論対的であろうと実験結果と矛盾すれば直ちに間違った理論として却下される。しかし間違っているのは理論ではなく、この宇宙なのではないだろうか・・・
ね?すごいでしょ?
これが現役(当時)の東京大学教授の講演。
無限に存在する宇宙。我々の宇宙の物理法則は偶然の産物であり、そうではない宇宙が無数に存在し無限に広がる。レベル4に至っては、もう、哲学としか言えない。
全卓樹先生が「革命家のマルチバース」に、須藤先生のこの発言を書いてました。
「世界全体にはわれわれの宇宙と同一なものが無数にあり、われわれとほんの少し違う宇宙、大幅に違う宇宙、すべての可能な宇宙の無限個のコピーがある。」
そう。須藤先生を高知工科大学のセミナーに引っ張ってきたのは、おそらくは全卓樹先生で、その後、東京大学を定年退官された須藤先生は、故郷高知の高知工科大学特任教授となり、国内の優れた研究者を招く「高高高知講演会」をスタートさせたのでした。「高知の高校生に最高の知を」というもので、未来を担う高校生に、現代最高の「知」に触れてもらうというもの。すごいね。こうやって、「知」はつながっていく。
因みに、須藤先生たちの理論はかなり突拍子もなくて一部では「異端視」されてます。
この「数学的な宇宙」の横に立てかけてあるのは、16世紀の修道士で、世界の中心は地球もで太陽でもなく、他にも無数の星がある」といった議論を展開し、キリスト教会から異端とされ、火炙りに処せられたジョルダーノ・ブルーノの「無限、宇宙と諸世界について」。
異端が火炙りになることはない現代、発想、議論するのは自由。高知から、次代を担う若者が羽ばたいてくれたら嬉しいねー。
