石垣マニアの発見〔7609〕2024/02/14
2024年2月14日(水)晴れ
ぬくいね。今週は、春のような陽気になるそう。厳寒の冬って、ほとんどなかったけど、もう春になるんでしょうか。週間予報見たら、来週には、最低気温が17℃という朝もありますきんね。
そんな訳で、高知城。今日は、公文書館で重要な仕事がありますので、高知城へやって来ました。追手門を入り、お城へと上がっていく石段を少し上ると、左手にこのような風景があります。上方に、美しい天守。この石垣の上部には「石樋」。近年は説明版も立てられているので、ご存じの方も多い「石樋」。降水量の多い高知の山にお城を築く、ということで、雨水の排水には工夫が凝らされている高知城。その排水が石垣を痛めないように、と、石垣から突き出した「石樋」から雨水が落ちるようになっているという仕掛け。
その石樋から左へと視線を移していくと。なにやら、石垣が上から下へとまっすぐになっている部分があります。長方形に切られたチャートの左側が、まっすぐに上から下へ。近くでよく見てみると、算木積みだ。つまりここは、石垣の角の部分だった、ということがわかる。わかります。
つまり、その算木積みから左側の石垣は、後で積まれたもの。当初は、そこが角になっていて、石垣は向こう側、奥の方へと繋がっていたと思われます。算木積みから左側は、空間だった。そんなことが、石積みから見て取れるのであります。石垣好きなら、わかるよね。
算木積みは、定石通り、下から上へ少しづつ小さい石になってます。その他の部分は、チャートの野面積み。石の形状を活かした、しっかりとした石積みやね。
僕の愛読書「石積の秘法とその解説」に、いろんな石積みの方法が書いてあるけど、この石積みはいわゆる「鬼積み」でしょうか。外見よりも強度を優先した、積み方。
野面で石を積んでいく場合、たくさんのルールがあります。ひとつは「谷積み」になること。横に並んだ石と石の間の谷に、上の石が乗るようにする。で、ひとつの石の周囲に触れている石は、6個というのが理想。5個でも7個でもいいけど、8個とか4個とかではダメ。強度が損なわれるんだそう。あと、細長い石が縦に並んで積まれたりするのも、ダメ。とか、たくさんのやってはならない積み方も、解説されてて勉強になります。写真左端に見える石積みは、少し雑な積み方にも見えますねー。この石樋のある面の石垣が、なんとなくしっかりと積まれている気がします。
金沢城では、明治以降になって積まれた石垣が崩れたと言います。恐らくは、陸軍の工兵によって積まれた石垣。工兵には、こういった知識がなかったのかも、知れません。もし、こういった解説本を読んでいたら、崩れないような石垣を積んでたかも知れんね。
そうそう。こないだの吉田勝次さんとの懇親会で、地質調査会社の専門家さんと話した際、この「石積の秘法とその解説」のことを話題にしました。その中で、かの、近自然工法で全国的に有名な福留開発の福留さんも愛読しておられた、という話を聞いて、深く深く納得したことでした。
石積み、石垣は、奥が深い。この算木積みを見つけたことで、かつては、ここに違う風景があったことがわかりました。
バレンタインデーに何をやってるんだか。