金銅荘環頭大刀拵・大刀身〔7518〕2023/11/15
2023年11月15日(水)晴れ
高知で11月15日というと、龍馬の誕生日であり命日である、というのが有名。ただ、旧暦での十一月十五日なので、現在の暦でいえば、生まれたのは1月3日で、暗殺されたのは12月10日。寒い日に生まれ、寒い日に暗殺された、坂本龍馬。お鍋の美味しい季節でした。
で、11月15日。
土佐一ノ宮はご存じ土佐神社ですが、土佐二ノ宮は、言わずと知れた小村神社。日高村に鎮座まします、由緒ある神社。おむら神社。その、秋の例大祭は、毎年11月15日に執り行われています。その例大祭の日、一年に一日だけ、小村神社の御神体である「金銅荘環頭太刀拵・太刀身」が、一般公開されるのであります。
その御神体、高知県に3つしかない「国宝」のひとつ。すごいのである。
ここでおさらい。高知県内の国宝は。
まず、大豊町豊楽寺薬師堂。1151年に建てられた、四国最古の木造建築建物。幾度かご紹介したけど、美しいよねー。受験生の頃、よく、汽車に乗って行って、日がな一日のったりまったり現実逃避してたこと思い出します。
2つめは「古今和歌集巻第廿(高野切本)」。905年頃、紀貫之らによって編纂された古今和歌集の、1050年前後の写本。古今和歌集原本が残ってない今、最も古い写本が「高野切」で、全部で20~22巻あったとされるものの、第20巻。高知城歴史博物館所蔵。高知県が7億円で購入して話題になったのは、もう、19年前のこと。
そして3つめが、小村神社所蔵の「金銅荘環頭大刀拵・大刀身」。小村神社の創建は587年といわれ、その頃(つまり古墳時代後期)のものとされる「金銅荘環頭大刀拵・大刀身」。つまり、1400年前の大刀拵と大刀身が、美しい状態で残されているのであります。1958年国宝指定。
「金銅荘」は「金銅装」。「金銅」は、この資料によれば、銅でつくった本体に、鍍金(メッキ)したり金箔を貼ったりしたもの。そういう装飾を施した「環頭」の大刀。「環頭」は把頭(つかがしら)に環状の金属飾りを装備したもの。
これまで「太刀」ではなく「大刀」と書いてきたことにお気付きでしょうか。美しい鋼色の刀は、まったく反りが、ない。なので太刀ではなくて大刀なんだそう。知らんかった。ご存じでしたか?
ここで気になるのは、「金銅の装飾を施した環頭」の大刀なのか、「金銅の装飾を施した」環頭の大刀なのか。今日は現物を見て、確かめてきました。
正解は、「金銅の装飾を施した、環頭の大刀拵」と、「大刀身」。環頭の拵が金メッキした銅でできてます。そして、まったく錆びてもいない見事な刀。こんな美しい刀が、1400年の時空を超えて存在しているという奇跡。あまりに美しいので、どうやら「工芸品」として国宝に認定された、らしい。考古品としての国宝ではなくて、工芸品としての国宝。知らんかった。ご存じでしたか?
写真は、小村神社拝殿前。右手の建物内で、「金銅荘環頭大刀拵・大刀身」の本物を見ることができました。役場の文化財に詳しい知人が、丁寧に説明してくださいました。国宝にして御神体なので、写真撮影はできません。以前、歴民でレプリカ見たけど、本物はやっぱし違うねー。
実は。最近、小村神社の宮司さんと、ひょんなことで飲み友達になってしまい、「金銅荘環頭大刀拵・大刀身」へのリスペクトを話したら、ぜひ、11月15日に来てください、という話になった訳で、お陰で、良いものを見せて頂き、また、勉強になりました。ありがとうございました!
これはなんか、ご利益いっぱいありそうな気がしてきたぞ。