ここにあった「昭和」〔7359〕2023/06/09
2023年6月9日(金)薄曇り
今日は一日曇りの予報。梅雨ですきんね。梅雨。
昨日、自転車を南はりまや町に置いてたので、今朝、出勤途中に取りに行きました。ちなみに昨日の夕刻、南はりまや町から桂浜行きの路線バスに乗って御畳瀬へと出かけた訳やけど、なんか、久々に高知で結構混んだバスに乗った気がします。雨やったせいもあるのでしょう。夕刻、瀬戸から長浜方面へと向かうバスはまあまあ混んでて、ちょっと、嬉しくなりました。公共交通機関が利用されている、ということの嬉しさ。今朝の新聞に、鉄道の存続についての厳しい記事が載ってたけど、公共交通というのは、社会のありようを激変させてしまう力を持っているので、そこがわかった議論をして欲しいよね。少子高齢化社会をどうするのか。地方の社会をこれからどうするのか。ひいては、日本という国を将来どんな国にしていくのか。そういう視点。どこを走る路線バスも朝夕は満員で、山間部の隅々まで公共交通が行き渡っていた、そんな昭和は、もう、遠い昔。
そんな訳で、今朝は、ここに昔あった「昭和」を懐かしんで、撮影してきました。この、今は空き地になった場所にあった「K」という居酒屋は、昭和感満載の、なかなかにすごいお店でした。今日は敢えて「K」とイニシャルで書きますね。依存症の方のパラダイス「K」。
まだ与力町に弊社の本社があった頃は、毎朝、この前を通って出勤してました。あの頃は、出勤時間が今よりも遅くて朝6時頃。そんな時間にここを通ると、お店の中から「やぎり~いいのお わたあし~」みたいな歌声というかなんというかが聴こえてくる、そんな風情でした。もちろんお昼も営業してたし、きりもりしてたあのおばちゃんは、いつ寝てたんだろう。
平成になってからやけど、メディア関係の若い人達と僕が結成してた「高知のぬかるみ探検隊」で、そのお店に初めて入ったときのことは、忘れられない。
隣の席の、突然奇声を発し始めるおんちゃん。店の片隅で寝ている、朝からそこで飲みゆうというおんちゃん。そして、店の入り口は、入店したらすぐに鍵をかけることを求められる、そんな店。
カウンターで飲んでいると、年取ったおんちゃんがその入り口から入ってきて(近くの客が鍵を開けてあげる)、僕らの後ろを通り過ぎ、店の奥に消えてゆく。なんだこれは、とおばちゃんに尋ねると、店の奥が、一泊150円で泊まれる簡易宿泊所になっているのとのこと。平成になっても、そんな「昭和」が残っていたのが、ここ。
「高知のぬかるみ探検隊」では、その「K」をベースキャンプにして、市内で気になって仕方がない「昭和」な店を見つけては探検する、といったことを繰り返していました。そして、戻ってくるのは、ここ。
いつしか「高知のぬかるみ探検隊」も立ち消えになってしまい、『K」のおばちゃんも亡くなってしまってしまいました。今は、この空き地が残るばかり。昭和は遠く、なりにけり。
令和になり、居酒屋もこぎれいで洒落た店ばかりになりました。公共交通機関も、スマートで洒落たものになり、街の風景も清潔で綺麗なものになりました。
昭和の頃、ガタピシ言うようなバスは満員で、タバコの煙が満ちた汽車の中も満員で、衛生状態はどうなの?と思うような飲食店の中も満員だった。でも、なんか、幸せだった。
そんなことを、ここを通りながら、思い出したのでした。ここで、カラオケのがなり声を聞きながら出勤した朝も、もう、遠い、昔。