尾池先生の言葉〔7159〕2022/11/21
2022年11月21日(月)晴れ!
良いお天気の月曜の朝。写真左は、昨日の高知新聞。そう。尾池先生。中学高校の大先輩になる、元京大総長の尾池先生。現在は静岡県立大学の学長で、地震学者。
2年ほど前、尾池先生が高知新聞に「トンネルと水と地震と」という文章を寄稿されてたのをご紹介したこと、あります。そして、それがきっかけになって読んだ、吉村昭さんの名著「闇を裂く道」のことも、書きました。それは、丹那トンネルの工事により、ワサビが名産だった水が豊かな土地から水が無くなり、そしてひょっとしたらその大量の水抜けが原因で地震が起きたかも知れない、という衝撃的な話でございました。
今朝の新聞に書かれていたのは、その続きのような話。現在、静岡県の地下で、小さな地震が目立って増え始めた地域が2ヶ所あるんだそう。ひとつは南アルプス地域で、もうひとつが、富士山。どうやら東日本大震災がきっかけとなり、この地域の活断層が何らかの異常な状態になって敏感に反応している可能性がある、との見解。
そして。こういう文章で締めくくられています。「そのような活動中の大地では、大規模な土木工事で地下水を大量に移動させるようなことがあると、大規模な地震を誘発することになる可能性が最近また気になっている。」
この表現。おそらくは、ご自分の立場からのギリギリの表現なんだろうな、と思います。中央リニア新幹線で問題になっている大量の水問題は、地震学車にとって、丹那トンネルの記憶を呼び覚ますものなのかも知れない。
奇しくも、今、高知新聞1面でには「室戸文書は問う」という連載が始まってて、南海トラフ大地震が30年以内に発生する確率「60%~70%」という数値根拠についての問題提起が為されているところ。その数値は、東日本大震災を受けての「政治的決断だった」という、高知県人にとってはとても重要な、話。
歴史研究者から見ると、文書の扱いが雑、ともされる研究で、30年以内に発生する確率「60%~70%」という予想が、果たして科学的なものなのか。
ただ、あの、東日本大震災の後、人々に注意喚起を促す為に「政治的決断」でその予測になった、というもの。この場合は、注意喚起を促す「政治的」な判断。なので、本当は10%~20%かも知れん訳やけど、10%~20%という数値は決して小さいものではなく、ホッとしている場合ではないことは、当然のこと。
中央リニアの場合、どのような「政治的」判断が下されるのか。尾池先生の言葉は、いつも、胸に突き刺さる。
さあ、そんな訳で今週も始まりました。頑張って仕事、はじめます。