交通インフラを考える〔7067〕2022/08/21
2022年8月21日(日)曇り
雨の予報やったけど、ほとんど降ってないですね。時折小雨が少しだけパラつく、日曜日の朝。会社に来てます。日曜朝の新聞タイム。至福のひととき。
まずは野中兼山絡みの記事。昨日、野中兼山先生の物部川改修工事のこと、書きました。本流を広い直線状につけかえて洪水対策をほどこし、同時に堰と用水を構築して広大な農地を灌漑する。今から400年前に、そんなことを考え、そして実行したのはすごいね。
幾度か書いてきたように、戦国期は、日本の土木技術が劇的に発展を遂げた時期だと言えます。戦争が、技術を発展させる。戦国期の戦争は、秀吉の戦い方とかを見てもわかるように、土木技術の戦争でもありました。戦国の激動の中で培われた土木技術が、太平の世になって、インフラ整備に利用されたという歴史。
それにしても、野中兼山の技術、知恵は、すごい。
で、今朝の高知新聞には、これも野中兼山の手による「新川の落とし」の記事が掲載されてました。このにっこりでも幾度か紹介したこと、あります。
仁淀川と浦戸湾を、太平洋を経由せずにつなぐ、という壮大な工事を主導したのも、野中兼山。春野の平野を灌漑する、という目的と同時に、仁淀川上流の木材や木炭などを浦戸湾に運ぶ水運の動脈構築の目的も、ありました。どんな場合でも、目的が一つだけではなく、多層化しているのがすごいよね。
で、その水運にとって、大きな問題がありました。それは、段差。新川川に3mほどの段差が生じてしまうという問題。それを解決する為につくられたのが「新川の落とし」。緩やかな斜面の石畳を構築して、材木はそれをすべらせる。他の物資は、一旦陸揚げし、積み替えるという作業を行った場所が「新川の落とし」。今も残るその「落とし」は、野中兼山の事蹟を今に伝えてくれます。で、以前にも書いたように、「新川の落とし」は物流の中継地となって、材木商、運送業者、料亭、旅館などなどが立ち並ぶ繁華な町となったのでした。今朝は、その栄華と、交通インフラの劇的変化による衰退を、紹介してます。
交通インフラと言えば、今朝の高知新聞にもうひとつ。西土佐で「自動運転車」の実証実験が行われる、という記事。江川崎駅と「よって西土佐」の間で、今日から28日まで実施される実験。あくまで「実験」で、運転手が乗っている「自動運転車」。
未来の交通インフラには、こういう技術やAIなどが活用され、今からは想像もできんような社会になっているのかも知れません。そういう技術が、大都市一極集中や山間部の過疎、高齢化解消に使われることを願うばかり。せっかくなんでね。
実験と言えば、昨年末から今年初めにかけて、高知市発着の路線バスが日曜祝日無料、というのやってました。僕もいっぱい利用しました。
今年はどうなるのかと言いますと、「ワンコイン」になるんだそう。どこ乗っても100円で、「ですか」使えば10円。なるほど。
これは、コロナで利用客が落ち込んだ公共交通事業者を支援する目的の事業とのこと。
せっかくなんで、これも「実験」にすればいいのに。高知市発着にこだわらず、山間部の人の少ない地域で無料バスを走らせる「社会実験」。「自動運転車」の「実験」をやるのなら、中山間で無料バスを走らせる「実験」があっても、良かろう。
野中兼山は、ひとつの事業を行うとき、その目的を重層化していました。なので、どうせやるなら目的を重層化して、「実験」をするのもいいと思う。
などと新聞読みながら妄想が広がる日曜の朝。