アラル海〔7056〕2022/08/10
2022年8月10日(水)晴れ!
今日からよさこいか。熱中症対策に牛乳飲んで、気をつけて、楽しんでくださいね。
さて。昨日、バイコヌールのこと書いてて、すぐ近くのアラル海がまたすごいことになっているのに気付きました。あの巨大だった湖が、小さく小さくなっている。
僕らが子供の頃、アラル海は、世界大4位のん面積を誇る大きな湖、と習いました。カスピ海の横の、丸い形をした巨大な湖。
ところが。
16年前の2006年、Jr.1号を連れてバイコヌールへ行った際には、随分と面積が小さくなっていたのに驚いたことでした。バイコヌールってシル・ダリアの河畔にあって、砂漠の中を流れる大河というのを目の当たりにして感動した訳やけど、そのシル・ダリアが流れ込むのがアラル海。2006年当時でもかなり小さくなっていたけど、現在はまた、すごい。Googleマップだと、なんとなく、以前の形状を推測することができるけど、それにしてもすごい。
ウィキで見てみると、この半世紀で面積は約5分の1になったんだそう。その変遷を動画で見れます。原因は、人間。「20世紀最大の環境破壊」とも言われているそう。それは、旧ソ連「自然改造計画」によって始まりました。当時は商品作物として非常に優秀であった綿花の栽培を行うために、同じくアラル海に流れ込んでいた大河、アム・ダリアの大規模灌漑事業を展開する。その際、アム・ダリアは流路を変えられ、アラル海に流れ込まなくなったのでした。
それによる大規模な環境変化は当然予想されたけど、旧ソ連指導者は、漁業の損失よりも農業利益の方が大きいという計算で、あとは国家による計画的な統制が生産力を向上させる、というイデオロギーをプロパガンダする為に、強行されたといいますね。
ウィキには、ソ連政府は「アラル海はむしろ美しく死ぬべきである」と言って退けた、と書いてます。本当か?
で、結果。予想を上回るペースで湖は小さくなり、元々塩分濃度が海水の三分の一だったのが、2000年には海水の二倍を超え、生物が住めないような環境になってゆく。生態系の激変に加え、塩分や有害物質を含む砂嵐の多発化により、周辺に健康被害が広がるようになる。井戸水の汚染が急激に進む。かたや農業生産はというと、当初は良かったものの、塩害や連作障害で生産量は伸びなかった。
これだと、人生幸朗師匠でなくても「責任者出てこい!」と言いたくなる訳やけど、当時のソ連でそんな展開になる訳もなく、環境破壊は続いたのでした。ゴルバチョフが登場するまで。
その後、環境回復に向けての取り組みが行われるようになり、シル・ダリアが流れ込む小アラル海は、面積が徐々に拡大しはじめたそう。南の大アラル海は、まだまだ厳しい。全ての灌漑をやめたとしても、元に戻るには75年かかる、という試算もあるそうやけど、それで戻れば御の字やと思います。なんか、高知パルプと江ノ口川の関係を思い出す。目の前のちょっとした利益に為に、取り返しのつかない損失を被ってしまう。当時のソ連にも山崎圭次さんのような人物は居たのでしょうか。居ても、あの国家の中ではなかなか難しかったのかも知れない。
高知の「20世紀最大の環境破壊」も、地球規模での「20世紀最大の環境破壊」も、力を過信した人間による大失態であった点で、共通してますね。誰も責任とってない点でも。
なにが「自然改造計画」やねん。責任者出てこーい。という、人生幸朗師匠の声が聞こえてきます。