命山最接近と、酪農の未来〔6980〕2022/05/26
2022年5月26日(木)曇り
今日は出張で、東京。JALの始発便に乗ってます。始発便は朝7:15高知空港発なので、朝が苦にならない僕にはとても便利な飛行機。出勤し、ふた仕事ほど片付けてから、乗りました。
こうやって、少しづつ、平常な生活に戻りつつある感じの日本社会。今日は大切な業会の会合です。今、日本の酪農はかなり大変で、それにどう臨んでいくのか、という話をしてきたいと思ってます。
現状を少し整理しますね。
昨年末とか、この春休みとか、牛乳が余って困っているというニュースが流れました。それはなかなか大変でしたが、皆様のご協力により、なんとか廃棄乳を出す事なく乗り切ることができました。ありがとうございます。
この状況は何故、発生したのか。そもそもの原因は、何年か前の牛乳不足に端を発します。生乳が不足すると、一番優先されるのは飲用向けなので、バターとか脱脂粉乳に皺寄せがいく。一般消費者にとっては脱脂粉乳はあまり馴染みがないので、バターの不足が目立ち、マスコミとかでも取り上げられるようになりました。そこで、議員さんたちが役人にプレッシャーをかけ、国の農政は、生乳増産へと舵を切る。増頭対策とかね。
しかし相手は生き物だ。増産政策に舵を切ったと言いましても、乳牛が増えて増産できるまでには2年~3年かかります。で、その増産政策の成果が上がり始めたのが、去年。そこにコロナと天候不順が直撃して、牛乳余りとなってしまった。実際はこんな単純な話ではないけど、まあ、概略、こんな感じ。
で、今。巷で牛乳は余っているのに、酪農家さんは大変な状況になってます。ご存じ穀物相場の地球規模での高騰などによって、餌の価格が暴騰しているから。もう、やっていけない、という酪農家さんの切実な声が、僕らには聞こえてきてます。
だから生乳の価格を上げないと、なんともならない。ところが。市場では牛乳が余っているということで、大手乳業は乳価の値上げに慎重なんですね。余計に余ってしまう、と。
余った乳は、脱脂粉乳やバターといった保存のできるものに加工される訳やけど、その国内在庫が積み上がって大変になっている、ということが、乳価値上げにならない要因でもあります。
ここはね。そういう乳製品の在庫対策と、酪農をどうしていくかを切り分けて考えないと、大変なことになると思うのです。もう、酪農家さんには一刻の猶予もない。そんな状況ですきに。
僕もこの業会が長いので、肌感覚としてわかるけど、ここで急いで手を打たないと、間違いなく2年後、3年後には、牛乳、足らなくなります。ひょっとしたらとんでもなく、足らなくなる。そんなことは業会に携わっている人間なら、わかります。
生き物相手なので、対策と成果の間にはタイムラグが発生するんですね。その結果が今の牛乳余りである訳で、今、対策しないと数年後の深刻な牛乳を引き起こす訳です。
上昇したコストは価格に転嫁する。これができないと、経済というものは、まわらない。それを、今回の出張では議論してこようと思っています。
この写真は、高知空港を離陸する際に撮影したもの。もちろん機内モードに切り替えている、スマホ。表示しているのは古地図散歩。戦前の地図の、現在地。そう。命山に最接近したところで、撮影しました。戦争で飛行場ができるまで、ここに存在した標高28.2mの山。地元では、命山と呼ばれ、津波や洪水から周辺の人々の命を守ってきた、山。
酪農家さんの命を守る為、日本の将来を守る為、今、どんな「命山」が必要なのか、議論してきます。