ひまわり文庫2021年10月の新刊〔6743〕2021/10/01
2021年10月1日(金)晴れ!
もう、10月。はや、10月。驚きますねー。慌てますねー。いや、ビックリ。いやはやまったく。コロナは少し下火になり、今日から全国的に緊急事態宣言もまん防も解除ですって。さあ。このまま収束していって欲しいけど、どうなるでしょうか。
それはそれとして、早速ひまわり文庫、2021年10月の新刊だ。なかなかいい本、揃いました。
まずは軽いのから。久々の万城目学。
「ヒトコブラクダ層ぜっと 上巻」「ヒトコブラクダ層ぜっと 下巻」。こういうトンデモ設定小説を書かせたら、万城目学の右に出る者も左に出る者もいないでしょうな。今回は舞台がイラクまで飛んで、弾けてます。楽しいねー。久々の万城目学ワールドを楽しませて頂きました。ついでに、まだ読んでなかった「バベル九朔」もね。頭の中の構造がどうなってるのか覗いてみたくなる、万城目学です。
次はとても軽めのミステリ、「変な家」。題名が気になって、うっかり買ってしまいました。帯にあるように、ネットで100万回読まれたという、今の時代ならではの読まれ方をしたミステリ。作者の「雨穴」という人物の紹介は、こうだ。
「インターネットを中心に活動するホラー作家。ウェブライター、YouTuberとしても活躍している。」
いまどき、こういう作家のこういう作品も、読んどかなくっちゃね。読んどかなくちゃ。読みました。はい。
今月の新刊では、小説はもう一冊だけ。「ポオ小説全集1」。言わずと知れた大御所、エドガー・アラン・ポオの全集第1巻。まだ、モルグ街の殺人を書く前やけど、ポオはポオでした。扉に「怪奇と幻想、狂気と理性の中に美を追求したポオ」と書かれているけども、まさにその通り。すごいね。ポオ。天才だ。天才です。やはり天才の書く文章、小説は、全然違いますなー。いや、違う。
さて。今回歴史関係は3冊。まず「文禄・慶長の役」で、サブタイトルは「文学に刻まれた戦争」。やけど、この本の一番の読みどころは、あの悲惨で惨たらしい殺戮であった侵略の戦争を、朝鮮半島からの視点で描いているところ。日本の歴史では教えられることのない視点で見た秀吉の朝鮮侵略が、韓国では「壬申・丁酉倭乱」と呼ばれていることを知ったのは、20年前に初めて韓国へ行って、ソウルのロッテ百貨店へ行ったときでした。
「メソポタミアとインダスのあいだ」は面白かった。世界最古の文明、都市、文字がつくられたメソポタミア。その文明が、ペルシャ湾やイラン高原などを経由して、インドへとつながり、インダス文明をもたらす。そして、インダスの文明とメソポタミアの間で、たくさんの文明が栄える。考古学の最新の成果をもとに書かれた、僕らが知らなかった湾岸の世界。その交易文明は、世界史に、大きな大きな影響を与えていることを、知りました。世の中、知らないことだらけ。
知らないことと言えば、次の「幻の本土上陸作戦」も、太平洋戦争末期にアメリカの指導者が、どんなことを考え、実行しようとしていたかという、今まであまり知られてなかった衝撃の事実を明らかにしています。南九州への上陸作戦、オリンピック作戦と、それに至るまでの恐ろしい計画。NHKは、こういう素晴らしい仕事をしてくれます。感謝感謝。
今回、期せずして西アジア関係の本が多くなってしまったけども、「不思議の国サウジアラビア」も目から鱗の本でした。今、アフガニスタンのタリバン政権による、イスラム原理主義的統治が問題になってるけども、あまりニュースにはならないが、サウジアラビアでも、女性の服装や活動は極端に制限され、それがとっても普通である、というレポート。日本人女性の目から見た、パラドキシカルに成り立っている豊かな国、サウジアラビア。こういう国のありようを知ると、タリバンのアフガニスタンに対する見方も、ちと、変わってきます。今、読んでおいたら良い本かも、知れません。
宇宙論は大好きで、今月は「言ってはいけない宇宙論」を読みました。
現在の宇宙論、物理学は、正しいのか。実験や観測が示しているのは、理論が正しくなかったりすることではないのか。物理学の7大タブーと言われている議論を取り上げて、僕らが生きる宇宙の不思議が、とんでもなく不思議であることを、教えてくれる。のかも知れない、本。物理ってのは、とんでもなく難しいし不思議だし、直感から外れてるし、面白い。よくわからんけど、面白いのでした。
最後。最近、幾度も取り上げてきた「機械式時計大全」。最近あまりテレビで見んなったと思った山田五郎さんは、美術関係を面白く解説するYoutubeチャンネルや、こんな本で活躍していたのでした。そのYouTubeで話してたので、ついつい、全然興味なかった世界なのに読んでしまいました。読むと、本当に知らなかった、でもものすごい世界がそこに存在してて、驚いたのでした。奥の深さや、波乱万丈の歴史、そして、機械式腕時計の、現在位置。すごい。世の中、知らないことだらけ、を、改めて強く強く実感させてくれた本でした。機械式腕時計関係の動画って、楽しいね。精密機械ってのは、とんでもなく魅力的なのでした。
以上、ひまわり文庫2021年10月の新刊。幾度も引用してきた「機械式時計大全」は、僕の知識を広げてくれた本であるのは間違いない。今月のイチオシに相応しい佳本ではあるけど、敢えて、違うのを選んでみました。だってひまわり文庫だもの。「メソポタミアとインダスのあいだ」。いや、シュメルとかアッカドとか、バビロニアとか、ウル王朝とかの世界には興味あったけど、その周辺にこういう歴史が展開していたのは、盲点でした。歴史の見方を変えてくれた、そして知らなかった世界を教えてくれた一冊でした。
いやー、秋の夜長は、読書三昧に限るねー。