いつか思い出すだろう 大人になったときに〔6717〕2021/09/05
2021年9月5日(土)薄曇り
僕は、新聞は読むけども、あんましテレビというものを、観ません。でも、子供の頃はよく観てましたねー。そんな子供の頃に観たテレビ番組で、なんとなく印象に残っているものって、ありませんか?ありますよね。
僕が結構覚えておるのは、NHKの少年ドラマシリーズ。その中でも「つぶやき岩の秘密」は、どういう訳か、とても印象に残ってます。やはりあの主題歌でしょうね。石川セリさんが歌う、なんとも美しくて切ない感じの主題歌。
♪いつか思い出すだろう 大人になったときに
その主題歌を、大人になってから聴きながら、子供の頃に観た「つぶやき岩の秘密」を思い出す。ああ。僕にも少年時代があった、と。その主題歌が流れるバックの風景は、逆光の中、海を漕いでゆく小舟。その場面と歌が綯い混ぜになって、強く強く記憶に刻まれているのでした。
そんな訳で、まだJr.1号が4年生、2号が1年生の時に、彼らが浜辺で逆光の中、遊ぶ風景で、「つぶやき岩の秘密」を思い出したのでした。2004年のこと。そんな彼らも、もう、大人になってしまった。あの風景を覚えているだろうか。
そんな訳で、コロナでシマカにしながら、行ってみました。「つぶやき岩の秘密」の舞台。
あのドラマって原作は新田次郎なんですね。知らんかった。流石のディテールと展開だ。最終話も素晴らしい。舞台は三浦半島で、ロケしてるのも三浦半島。ドラマでは、今から半世紀前の風景が楽しめます。海岸の自然は、そんなに変わってないけど。
で、「つぶやき岩の秘密」の舞台を調べた人が居て、こんなページがありました。これによると、このドラマに出てくる「つぶやき岩」は、この向こう側。対岸の油壺方面から見たら、こう。そして、この半島のあちこちでロケが行われたのでした。
そして、ドラマの中で、大きな役割を果たすのが、旧日本軍が掘った要塞。そう。太平洋戦争末期、米軍の本土上陸作戦に備えて、縦横に穴を掘って要塞化しておったのでした。
終戦後にわかった、米軍が計画していた上陸作戦。これは、全体がダウンフォール作戦と名付けられ、いくつかの段階に別れてました。まず、オリンピック作戦で南九州へ上陸。そこを橋頭堡にして、関東首都圏へ侵攻する。関東への上陸作戦は、コロネット作戦。
では、高知県へはどうなっていたのか。それはパステル作戦。南四国へ上陸すると見せかけ、日本の兵力をそこに誘導する陽動作戦だったことがわかっています。
最終的には、コロネット作戦で湘南海岸や九十九里浜から上陸して首都圏を陥落させる、という方針だったみたい。もし、1945年8月に終戦になっていなかったら。
日本軍も、当然、三浦半島界隈への上陸も想定しており、地下要塞を築きつつあったのでした。
「つぶやき岩の秘密」が放映されたのは1973年。僕が小六。このドラマの主人公の少年も小六。当時はまだ、戦争の匂いがあちこちに残っており、このドラマも、旧日本軍が残した地下要塞に、金塊が隠されているというのがテーマになってます。まだ、そんな時代だった。
そんな時代の少年が、事件に巻き込まれながら成長してゆく。
そしてエンディングロールで、そんな少年の体験と成長を見つめつつ「いつか思い出すだろう、大人になったときに」と石川セリが歌う。輝いていた少年時代。
逆光の海に漕ぎ出してゆく小舟が、そんな少年の輝きをイメージさせ、なんとも切なく美しいのでした。
そして。2004年、今から17年前のこの風景を見ると、これもまた懐かしい。あの少年たちも、もう、大人になってしまった今となっては。
今朝は、あの「つぶやき岩の秘密」の舞台となった海と、17年前の少年たちの海を、並べてみました。コロナの日曜の朝。こんなことして楽しんでます。