ひまわり文庫2021年3月の新刊〔6529〕2021/03/01
2021年3月1日(土)晴れ
もう、3月になってしまった。弥生三月春爛漫。コロナ退散コロナ退散。
そんな訳で、ひまわり文庫3月の新刊となります。今月は小説、多いねー。それもこれもTSUTAYA中万々店の、山中さんの影響かも知れませんな。今月は地学系や自然科学系、数学系などが皆無という珍しい月になりました。
まずは左上、「パチンコ」。これ、アメリカで出版され、世界中でベストセラーになるも、日本語訳でやっとこさ出版されたという本。コリアン系アメリカ人であるミン・ジン・リーが、在日コリアン4世代の苦闘と生活と想いを描いた力作で、本当にいろんなこと、考えさせられます。日本で売れるのはなかなか難しいでしょうが、これは絶対に読んでおくべき本ですね。以前に読んだイトマン事件、許永中の「海峡に立つ」と一緒に読めば、日本におけるコリアンのありようが、立体的に掴めると思ったことです。この本も、TSUTAYA中万々店で、山中さんのお勧めに並んでました。
そして、こないだもご紹介した第4回山中賞「彼らは世界にはなればなれに立っている」。山中さんのイチオシだけあって、読み応えがあり、これまた色々と考えさせられる小説。現代社会をデフォルメしたような寓話仕立てになってて、よくできてます。作者は、1月の新刊でご紹介した「犯罪者」の太田愛。
その太田愛の「幻夏」も、TSUTAYA中万々店のお薦め文庫本コーナーにあったので、書いました。これは、毎日が輝いていた少年たちの夏が、悲しい悲しい展開の入り口となり、やりきれない結末へと向かっていく小説。太田愛さんの筆が、美しかった夏と、悲しい展開のコントラストを見事に浮かび上がらせる、せつなくてせつなくて素敵な本でした。
大好きな伊坂幸太郎が、2冊。「フィッシュストーリー」は伊坂ワールドの人気者も登場する短編集。さすがさすが、安定の伊坂幸太郎。安定のガースーとは、えらい違いだ。
その伊坂幸太郎が、子供達を主人公にして、これまた読後感が最高の短編集を書いてくれました。「逆ソクラテス」。これもなかなか素敵な本。安定の伊坂幸太郎。安定のガースーとはえらい違いだ。
小説は、以上。
「獄中で聴いたイエスタデイ」。1980年にポールマッカートニーが来日した際、大麻所持で成田で逮捕されて収監された際、留置所で、ポールの歌を聴いた人が居る、という話は聞いたこと、ありました。その話は事実で、ポールは、獄中に収監されてた男の要望に応え、イエスタデイなど4曲を、機嫌良く歌ってくれたという奇跡。制止しなかった留置係も偉かった。殺人罪で収監されてたヤクザが、このイエスタデイによって励まされ、今はカタギになってこの本を書いた、という、ちと出来すぎたストーリーはさて置いて、やはりすごい話ですよね。ポールマッカートニーはやはり、すごい男だ。
こっからは人文系。
まず「地図とあらすじでわかる!聖書」。面白い。聖書の内容って、旧約も新約も、知ってるようでよくわかってません。断片的な逸話は知ってても、全体像がつかめてない。その聖書のできごとや登場人物を、地図で検証しながら解説してるので、とてもわかりやすい。僕ら一般人にも、ユダヤ教やキリスト教のことが俯瞰的に理解できたような気にさせてくれる、良い本でした。
次は仏教。「仏教の誕生」は、仏教学者佐々木閑が、古代インドのどのような社会環境、信仰環境に中で仏教が生まれ、そしてどのように変化したりしながら広まっていったのかを、これまた僕ら素人にもわかりやすく、解説してくれてます。他の世界宗教とは違う、価値観を変えることで救われることがある、という教え。もうちょっと深く仏教のこと勉強してみよう、と思わされますね。
「シュメール神話集成」は、まだ地球上で、メソポタミアにしか都市文明が存在してなかった時代から、文字として残されてきた神話のいくつかを、そのまま日本語に訳したもの。有名なギルガメッシュ神話からノアの箱舟やバベルの塔の話のルーツになる話などなど、とても興味深い話、満載。「ウルの滅亡哀歌」などは、都市ひとつが破壊され滅亡する姿を歌ったもので、迫力あります。
「シュメル」読んで、「「古代メソポタミア全史」読んだから、神話も読んどかなくっちゃ、という訳です。
最後は「しじ万より」
こないだご紹介しました。故坂東眞砂子さんの、未発表の著作集。エッセイなどがまとめられてて、高校生の頃に描いて投稿したマンガや、小学生のときに書いた詩も、収録。お母様と姉様の手により、高知新聞総合出版から発売されました。そして、僕が、帯を書かせて頂いております。人生初「帯」。
まだアマゾンでは買えんけど、ここからは、買えます。
高知県内書店でも、買えます。こないだTSUTAYA中万々店様へ行ってみたら、結構積んでくれてました。さすがさすがのTSUTAYA中万々店様。
そんな訳で、今月は11冊。
そして今月のイチオシは。
ミン・ジン・リー「パチンコ」に決定。長編やけど、一気に読めます。そして、深い。これは読んどかんといかん本だと思いました。あと「幻夏」も良かった。夏休みの少年の輝く思い出、というのが反則的に胸を締め付ける感じ。せつなくてせつなくて。
こんな感じで3月が始まります。コロナにもタッてきました。