火星と火星人と地球人〔6384〕2020/10/07
2020年10月7日(水)晴れ
秋晴れの朝。朝晩、寒いくらいになってきました。10月ですきんね、もう。コロナ野郎は、まだしぶといけど。
写真は、今朝4時過ぎの鏡川。鏡川大橋北詰の西側土手上から撮影しました。鏡川に街灯りが美しく映え、南嶺の黒い影。その真上に、火星。赤く輝く火星が一際目立つ秋の空。
火星といえば火星人。かつて、地球人にとって宇宙人といえば火星人だった。というくらい、火星には生物が住んでいる、という可能性が語られておりました。つい最近まで。いや、まだ、今も続いてて、火星のどこかに生命体が存在する可能性は捨て切られておりません。
そう。この太陽系形成時に、僕らと同じ起源の生命体がなんらかの理由で惑星や衛星に散らばって存在することになった、というストーリーは、今や荒唐無稽でもなくて、可能性はゼロではない。
もし太陽系の地球外に生命体が存在するとしたら、僕らと同じ起源のリボゾームをコードする生命体だと思います。
生命とは何か、という話にもなるけど、太陽系外の遠い宇宙に「生命」が存在するとしたら、それは僕らの概念を覆すような、僕らの想像力の外にあるような「生命体」である可能性が高いんでしょうね。いや、たぶん、そう。僕らの想像力なんぞ、せいぜい、僕らの生きている社会の枠の中での想像力でしかないですもんね。
火星人の話。火星人といえば、H・G・ウェルズの「宇宙戦争」に出てくるタコの怪物みたいなののイメージが強烈。1938年、アメリカのラジオで放送され、本当に宇宙人が攻めてきたと思ったリスナーたちが騒いでパニックになったのは、有名。
このタコさんみたいな宇宙人という造形は、なかなか頑張った想像力だと思います。その後、ETなど、いろんな宇宙人が登場するけど、ぜんぶ、なんとなく顔があって手足があって、人間の構造に似たものが、多い。ウルトラマンも人間みたいだし。
ウルトラマンに出てくる怪獣も、顔がひとつに手足が二本づつ、みたいなのが多いっすよね。まあ、着ぐるみの中に「人」が入らんといかんという事情はあったでしょうが。
人間に近い火星人の話でいうと、レイ・ブラッドベリの「火星年代記」でしょうか。宇宙人と地球人が同じような外見、という設定は、安易ではあるけど、多いっす。
安易ではあるけど、この「火星年代記」はなかなか優れた作品で、なかなかに、深い。
こっからはネタバレ注意。
地球から火星へ幾度か送り込まれた火星探検隊は、火星人の攻撃により全滅してしまう。しばらくして再び送り込まれた武装探検隊は、そこに誰も住んでいない廃墟を見る。先行の探検隊が持ち込んだ伝染病により、火星人はほぼ全滅してしまっていたのでした。
そこからまた、深いテーマのストーリーが展開される訳やけど、それはまた、読んでください。
ブラッドベリって、すごいね。この本は、SFの体裁をとってる社会派小説と言えましょう。最近、コロンブス以来のアメリカ大陸で先住民が壊滅したのは、ヨーロッパ人が伝染病を持ち込んだから、という話は当たり前になってきてるけど、そんなテーマを1950年代に書いてる訳で。
宇宙人はこわいけど、一番こわいのはぼくら人類のふるまいだったりする訳で。
このコロナ騒動で、感染症の脅威が再認識されてます。コロナはこわいけど、この騒動でわかったのは、コロナよりこわいのは「地球人」である、ということかも知れません。