ヒメジョオンと電車の混雑について〔6269〕2020/06/14
2020年6月14日(日)曇り
昨日ご紹介した、「寺田寅彦の宇宙観」。高知新聞社発行の本ですが、今は販売されてないみたい。検索しても出てこない。今にしてみれば貴重な本みたいっすね。あの本からは、鈴木先生のアグレッシブな学究活動が溢れ出してました。買うちょって、よかったよかった。
さて。日曜日。鏡川沿い走ってきました。湿度が高くて、川面には、靄。少し走るだけでたっぷり汗かけて、心地よい川の土手。土手の緑は日に日に濃く、アメリカ梯梧の花とヤマモモの実の赤が、高知らしいね。
そして白い姫女苑。ヒメジョオン。この土手にはハルジオンも咲くけど、今の季節はヒメジョオン。
姫女苑って、江戸時代末期に日本へ入ってきて、明治になってから延びてゆく鉄道の線路沿いに広がっていったから、「鉄道花」とか「鉄道草」とか呼ばれたと、ネットに書いてました。なるほど。そう言われてみたら、線路沿いに白い花咲かせてるイメージ、あります。
延びゆく鉄道の時代と言えば。こないだ、「漱石と鉄道」という本、読みました。7月の新刊でご紹介することになると思うけど、なかなか面白い本。
漱石先生、その小説の中で、かなり重要な役回りとして鉄道を登場させてるケース、多いんですね。「漱石と鉄道」は、小説の中の鉄道を、当時の時刻表などを駆使して検証してます。マニアだ。
で、漱石先生の愛弟子とも言える寺田寅彦さん、鉄道との関わりはどうだったのか。
で、有名?な随筆が登場します。
「電車の混雑について」。
青空文庫で、全文読めるので、暇を持て余してる方は、読んでみよう。
ね?
寺田寅彦さんって、こういう人物なのだ。東大の物理の先生が、電停でこんなデータを大真面目に取っている風景。次から次へとやってくる電車の混雑を「電車混雑の律動に関する科学的あるいは数理的の問題である」として、マニアにして面倒くさい考察をやってるのが、このい随筆。寺田寅彦さんが鉄道のこと書いたら、こうなってしまうのでした。いや、さすが寺田寅彦。
この文章の最後に、こんなこと書いてます。これが、寅彦さんが一番言いたかったことなのかも、知れません。
「これは余談ではあるが、よく考えてみると、いわゆる人生の行路においても存外この電車の問題とよく似た問題が多いように思われて来る。そういう場合に、やはりどうでも最初の満員電車に乗ろうという流儀の人と、少し待っていて次の車を待ち合わせようという人との二通りがあるように見える。
このような場合には事がらがあまりに複雑で、簡単な数学などは応用する筋道さえわからない。従って電車の場合の類推がどこまで適用するか、それは全く想像もできない。従ってなおさらの事この二つの方針あるいは流儀の是非善悪を判断する事は非常に困難になる。
これはおそらくだれにもむつかしい問題であろう。おそらくこれも議論にはならない「趣味」の問題かもしれない。私はただついでながら電車の問題とよく似た問題が他にもあるという事に注意を促したいと思うまでである。」