チックとティック〔6266〕2020/06/11
2020年6月11日(木)雨
いい感じで降り続く、雨。梅雨はやっぱしこうでないとね。いい感じいい感じ。コロナって、雨にはどうなんでしょうかね。雨だとウィルス飛散しにくいみたいな気もするけど、どうなんでしょうか。コロナ退散コロナ退散。
さて。昨日も全卓樹先生の本のこと、書きました。先月「銀河の片隅で科学夜話」読んで嬉しくなり、今、「エキゾティックな量子」というの読んでる、と書きました。そして。ついに昨夜読み終わりました。完読。「エキゾティックな量子」。
理論としてはかなり難解で、さっぱりわかりまへんがな、みたいな部分も多いけど、それでも読み通すと面白い。量子のふしぎな世界、ふしぎな理論を紹介しつつ、かなり哲学的だし。最後の方では、リー・スモーリンの進化論的宇宙論が魅力的に紹介されてたり、生物と量子の関わりや量子ゲーム理論、果ては「いにしえの世界観の復興としての量子力学」ですきんねー。地球上に生物が生まれ、僕らが生まれたのには、量子が大きな働きをしてる、という近年盛んな議論は、2019年11月のひまわり文庫「量子力学で生命の謎を解く」でも読みました。
内容についてこれ以上書いてると、全然理解できてないことがバレてしまうから、違う話。エキゾティック。
エキゾチックではなくってエキゾティック。やはり世界で活躍する学者さんにとってexoticはエキゾチックではなくてエキゾティックなのか。
僕ら日本人にとっては、ヒロミ・ゴーの「じゃぱーん」のイメージが強過ぎてエキゾチックやけど。新英和中辞典で意味を調べると「異国情緒の」「異国風の」「エキゾチックな」「外国産の」「外来の(しばしば熱帯産をいう)」。
だから、この本は「異国情緒あふれる量子」みたいな意味でしょうかね。 知らんけど。エキゾチックは日本語っぽいけど、エキゾティックは翻訳っぽい感じ。
同じようにロマンティックとロマンチック。
中山美穂のデビュー作となったドラマ「毎度おさわがせします」の主題歌は、C-C-Bが歌った「ロマンチックが止まらない」。いや、今見てみたら「Romanticが止まらない」やけど、みんな間違いなくロマンチックと発音してました。ロマンティックではなく。やはり日本人としてはロマンティックではなくてロマンチックなのか。「小樽のひとよ」は東京ロマンチカだし。
と、思って調べてみたら、こんな論文に行き当たったんであります。
計量国語学会で萩野綱男さんという方が書いた論文ね。世の中にはいろんな学会や研究者がおりますなー。すごい。これ見てみると、外来語やけども日本語として確立度合いの高いものほどチックで、そうでなければティック、という傾向があるように見受けられます。9割以上がチックなのが「レトロチック」「メルヘンチック」「エキゾチック」「インスタマチック」「プラスチック」
「オートマチック」は74%で「ロマンチック」は58.7%。
このリスト、下へいくほど、あまり馴染みのない単語が並びます。つまり日本語として使われる頻度が低いものは、ティックが多くなる傾向が見て取れるんですね。ティックが多くて馴染みのある単語としては「アコースティック」「サディスティック」「ドメスティック」などがあるけど、全部「英語を翻訳しました」感が満載だからティックでしょう。
例外的なのがエロチック。チックが24.8%でエロティックが75.2%という結果は、どう読み取ればいいんだろうか。日本語として確立しており、それほど「翻訳感」がないのにティックが優勢である。謎だ。理由はありそうな気もします。どうでもいいですか?
何が言いたいのかと申しますれば、exoticは95.2%が「エキゾチック」なのに、この本は「エキゾティック」である、ということ。この論文の表題にも「語形のゆれ」とあります。ゆれ。ゆらぎ。ゆらぎと言えば量子だ。exoticは、エキゾチックの状態とエキゾティックの状態が重ね合わさっており、観測するまで確定することは、ない。こうやって本の題名を撮影して初めて「エキゾティック」と確定したのである、と書いたら量子論みたいな感じ、しますか?
雨なので、早朝からちょっと、ペダンティック。